県信用保証協会と県商工会連合会、県よろず支援拠点は1月、3者で連携して中小企業・小規模事業者を支援する覚書を締結した。「とちぎ中小企業応援隊」を発足させ、事業者側の課題解決へ向け、より良い支援を目指す。互いの持ち味を発揮し、相乗効果を生み出し、事業者側の課題解決を図っていきたい。

 3者は、企業支援に関し異なる得意分野を持つ。協会は金融を絡めた経営支援、連合会は身近な商工会職員による伴走支援、拠点は専門家による課題解決力に優れる。

 協会は本年度から、拠点へ職員を派遣し、複合的な支援に努めている。拠点は商工団体などと連携し、出張相談会を開いており、今回の覚書の締結が実現したことから、2者間から3者間による重層的な支援が期待できる。

 コロナ禍以降、ビジネスモデルの見直しや原材料高、人手不足、デジタル化対応など事業者の抱える悩みは深刻化しており、地元企業と距離が近い商工会とも連携が深まるため、各地の企業への支援体制の強化につながるだろう。

 3者は相談者の同意を得た上で、事業者名や依頼内容などを記した「情報共有シート」を作成する。3者で共有し、当初の相談先以外の支援機関でも課題解決を提案し、支援の充実につなげる考えだ。

 協会からの拠点への職員派遣に伴い、金融機関から拠点への相談者の紹介が4倍以上に増えた。両者の連携により事業者側が気づかない課題を見つけ、支援ニーズの掘り起こしにもつながっている。

 情報共有シートを活用し、各支援機関単独では難しい支援策を積み重ねていくべきだろう。まずは相談対応件数を着実に増やし、支援実績を上げていきたい。数をこなして支援ノウハウを深めていけば、3者による支援効果の認知度も向上するだろう。

 地元企業の顔が見える商工会は、3者の取り組みを広く周知する役割を担う。協会や拠点は事業者側の相談を確実にこなせるよう組織自体の体制強化も欠かせない。

 商工会議所など別の商工団体にも連携を呼びかけることも必要だろう。関係する支援機関が増えると「手柄は自らの組織に」という思いも生じるかもしれないが、それぞれが持つ強みを生かし、事業者側へ必要な支援が適切に届くよう協力体制を構築していきたい。