日本サッカー協会(JFA)の宮本恒靖(みやもとつねやす)会長が各都道府県協会を巡回し、意見交換を重ねている。21日には本県協会を訪問した。会長自ら地方に足を運び対話を重ねることで、各地の草の根レベルでサッカー文化がさらに根を広げ、老若男女が生涯にわたり楽しめるスポーツになっていくことを期待したい。
JFAは2022年に公表した日本サッカー発展に向けたビジョンの中で、選手のキャリアを二つの山で表した「日本型ダブルピラミッド」を提示している。「グラスルーツ(草の根)」という同じ裾野から年代が成長するにつれ、一方は勝利を追求しプロという頂上、もう一方は楽しむことを重視し生涯スポーツという頂上へとつながる。二つの山を高めることが相乗効果を発揮するという。
生涯スポーツの山で近年、課題になっているのが中学生年代だ。小学生年代は、スポーツ少年団やクラブチームなど多様な活動の場がある。一方で、中学生は部活動の地域移行が進みつつあるが、地域によっては受け皿となるクラブがないなど選択肢が限られてしまうのが現状だ。県内も例外ではない。
本県協会の選手登録数は23年度、小学生年代で約4400人だが、中学生年代は約3500人と2割以上少ない。5年前の18年度には約4900人に対し約4600人と、その差は1割未満。この年代でサッカーを離れる割合が倍増している。JFAは都道府県協会を後押しし、地域クラブづくりの支援など中学生の環境整備へ尽力してほしい。例えば、小学生年代で指導者や審判員として関わった大人たちが、引き続き協力しやすくなる道筋を示せないか。
「人生100年時代」といわれる中、40歳以上のシニア年代が楽しむ機会の拡充も求められる。本県協会のシニア選手登録数は23年度、約900人。子どもや親子向けの体験会などと同様、シニア向けのイベントも各地で積極的に展開してはどうか。サッカーが生涯にわたり楽しめるスポーツであることを、広く発信してもらいたい。
今や日本代表は女子が11年のワールドカップ(W杯)ドイツ大会で優勝し、男子もW杯本戦出場の常連となった。あらゆる地域で、誰もが、生涯スポーツとして楽しめる環境を整えるのも、JFAの役目だろう。
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