コメどころの本県でも価格の高騰が続く。政府備蓄米の初回入札が先日行われ、今月下旬にもスーパーなどの店頭に並ぶ見通しだが、県内関係者からも値下がり効果には懐疑的な見方が出ている。

 高価格は消費者が離れかねず、安いコメは生産者の収入減につながる。今回の騒動はコメ生産の課題を浮き彫りにし、今後どうあるべきかを改めて問うている。国や県は生産から流通、消費まで課題を洗い出し検証し、必要な見直しをする好機と捉えたい。

 コメの価格高騰は、昨年の品薄状態に端を発している。猛暑や渇水などにより2023年産は良質なコメが十分に確保できなかったことに加え、インバウンド(訪日客)などの影響で需要が拡大した。

 そうした品薄感を背景に、24年産は新米への切り替え時期が早まり需要の先食い状態となった。そもそも生産量が想定より少ないと指摘する県内関係者もいる。

 県内のある集荷業者は24年産について、前年の半分程度しか集まっていないと証言する。在庫に余裕のある業者はほとんどいないという。生産量や在庫量など全体が見えにくい状況が、市場や消費者に不安を与えていると言える。

 農林水産省によると、2月にスーパーで販売されたコメ5キロ当たりの平均価格は3939円で、前年同期より約95%高だった。2月に備蓄米放出が公表されても値上がりが続いた。ただ米穀安定供給確保支援機構が公表した小売業者などへの2月の調査では、向こう3カ月の価格見通しは「現時点と同程度」とする回答が多かった。価格高騰は落ち着くと見ているが、高止まりが続くとの見方が強い。適正価格に向けてさらなる対応を迫られるだろう。

 生産者、消費者双方が納得できる価格が望ましいのは言うまでもない。県内のある生産者は、生産意欲が持てるよう、ある程度高水準な価格形成の必要性を訴える。生産者にとっては、生産コストを吸収し一定の利益が出るシステムが不可欠だ。その上で、消費者に過度な負担にならない価格帯を目指すべきだろう。

 生産調整(減反)は廃止したが、現在も需給を見据えて都道府県ごとに作付面積を決めている。生産に幅を持たせ、余剰分は輸出や備蓄に回すなど柔軟に考えるべきではないか。コメ政策を抜本的に改革する時期に来ている。