育児、介護と仕事の両立支援を強化する改正育児・介護休業法が4月から段階的に施行される。柔軟な働き方を後押しする方策が盛り込まれた。少子高齢化と労働人口の減少が進む中、育児、介護と仕事の両立支援は、全業種にとって待ったなしの重要課題と言える。柔軟な働き方を広め、育児や介護を理由にした離職防止を図る必要がある。
県が本年度実施した「働き方・女性活躍に関する従業員の意識調査」では、育児や介護をする立場になっても「働き続けられる職場だと思う」と答えたのは62・9%だった。残業が長いほど、また希望通りの休暇が取得できていない人ほど「働き続けられない」と考える傾向があった。
画一的な働き方では、育児や介護が必要な時期に大きな負担となり、場合によっては仕事を辞めざるを得ないことが浮き彫りとなった。
改正法は、子どもが3歳から小学校入学前までの間、テレワークや時差出勤など複数の選択肢から働き方を選べる制度の導入を、全企業に義務付ける。残業免除の対象も、小学校入学前までに拡大する。女性に偏っている育児負担の是正に向けて、従業員100人超の企業に、男性の育児休業取得率の目標設定と公表を義務付ける。
また介護に関しては、介護保険に加入する40歳になった従業員へ、介護休業などの制度の周知を全企業に義務付ける。従業員から家族の介護が必要との申し出があった場合は、個別に制度利用の意向を確認する。テレワークを選択できるようにすることも努力義務となる。
企業は改正法に盛り込まれたこれらの対策を着実に実行することはもちろん、既存の育児・介護休業を取得しやすくする工夫も求められる。
県の従業員の意識調査では、育児・介護休業を取るために必要な配慮や取り組みとして、「休業期間中の仕事の分担や対応する人へのフォロー」を挙げた人が最多の47・1%に上った。実際、休業する当事者の分の仕事を担う従業員への手当を創設する企業もある。柔軟な働き方を実現するには、こうした職場全体の理解と協力が欠かせない。
家族の介護・看護のために仕事を辞める人の多くは女性である。ワークライフバランス(仕事と生活の調和)の男女格差を解消する意識改革も必要だ。