不妊治療に取り組む自治医大付属病院生殖医学センターは今年から、仕事やキャリア形成などを理由に、健康な女性が将来の妊娠を見据えて卵子を保存する「社会的卵子凍結」を導入した。高齢出産を招いたり安全な妊娠・出産の有効性が明確でなかったりするといった懸念から、卵巣がんなど医療的な理由を伴わない卵子凍結に対しては推奨を控えていたが、社会的なニーズの高まりを受け、多様な生き方の選択肢として導入に踏み切った。全国の自治体で費用の助成も始まっており、同センターは「有効性の検証、評価も含めて社会に発信していく」としている。

社会的卵子凍結は「社会的適応による卵子凍結」とも呼ばれ、がん治療などで卵巣機能が低下する前に卵子を保存する「医学的卵子凍結」と区別される。同センターによると、卵子は年齢とともに減少、老化し、妊娠率も低下するため、若い卵子を保存することで妊娠の可能性を残せるとされている。
同センターでは以前から、院内の職員や外部の患者から問い合わせが度々来ていた。近年、東京都を皮切りに大阪府や山梨県など全国の自治体で費用助成の動きが拡大しており、医学界でも社会的卵子凍結に対する評価の潮目が変わってきているという。
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