学級担任を1人に固定せず、複数の教員で学年全体や複数の学級、学年の運営を担う「チーム担任制」が本年度、日光市の今市小と今市第三小で試行的に導入される。市教委は2026年度に市内18の全小学校への拡大を目指しており、全市的な取り組みは県内で初めてという。

 多様な個性を持つ子どもに複数の教員によるきめ細かな指導や支援が可能になるほか、休暇の取りやすさや若手とベテランの組み合わせによる教員間の負担軽減といったメリットが期待される。現場の実態に合わせた柔軟な対応を心がけつつ、教育の質のアップや働き方改革につなげ「学校力」の向上を図りたい。

 チーム担任制は、特定の一人の教員が特定の一つの学級を運営するのではなく、複数の教員が学年全体や複数の学級、学年の教育を担当する仕組み。富山県南砺市や京都市、神戸市が本格導入したり試験的に取り組んだりするなど、全国に広がりつつある。

 チーム担任制の一例として日光市教委は(1)朝の会と帰りの会を学年全体で実施(2)朝の会、帰りの会や給食指導を教員が交代で行う(3)教員の得意分野を生かした合同授業や教科分担の実施-などを挙げる。このように複数の教員が運営に携わることで児童や保護者のサポート体制を一層充実させることができ、教員の個性や特長が発揮される創造的な教育活動や効率的な業務が見込めるとしている。

 2020年度から市内全ての小中学校と義務教育学校でチーム担任制を導入した南砺市では、背景に「教員の大量退職への危機感」があった。今後約10年で多くの教員が定年を迎え、教育の質確保と若手の育成を急ぐ狙いから踏み切った。チームで新任教員のケアや支援を手厚くすれば、離職防止にもつながる。近い将来大量退職を迎える日光市教委も、こうした観点から取り組む先例になってほしい。

 教員間のコミュニケーション不足の懸念やチームリーダーの負担増など、想定されるデメリットも少なくない。日光市教委は本年度、今市小と今市第三小の成果と課題を詳細に分析し、しっかりと各校と情報共有すべきだ。

 もし現場の実態に合わなければ、市教委は無理な導入を求めないという。児童や教員、保護者の目線に立ち返り、できることから始める姿勢を何より優先させたい。