任期満了に伴う首長選と、市町議選・補選が集中する今春の県内「ミニ統一地方選」は、27日の日光、真岡両市長選と3市町議選・補選で前後半戦を終えた。六つの首長選では、無投票だった足利と新人同士の対決となった真岡を除けば、4市町のうち佐野以外の日光、さくら、高根沢でいずれも新人が現職を破る結果となった。

 物価高に伴う暮らしの不安や、トランプ米政権の関税政策による世界経済への影響など、国内外を取り巻く環境は一段と厳しさを増す。もちろん自治体によって状況は異なるが、時代の大きなうねりの中で、3市町の民意は行政運営を巡る刷新や変化を求めたとも言えよう。特に真岡を含め初当選した新人首長は結果を真摯(しんし)に受け止め、公約の実現や推進による市町政で応えるべきだ。

 前半戦のさくら市長選は、新人で前市職員の中村卓資(なかむらたかし)氏と3選を目指した花塚隆志(はなつかたかし)氏の事実上の一騎打ちとなり、中村氏が165票差の接戦を制した。花塚氏が前回を無投票当選した中、中村氏は「市民に選択肢を与えたかった」などと出馬に踏み切った。8年間首長選が行われなかった政治に有権者が判断を示した。

 後半戦の日光市長選では、新人で前市議の瀬高哲雄(せたかてつお)氏が同じく新人の前市議武田幸雄(たけださちお)氏、再選を目指した粉川昭一(こなかわしょういち)氏を下し初当選を飾った。保守系無所属3人による激戦となったが、「消滅可能性都市からの脱却」を掲げた瀬高氏に次の市政が託された。粉川氏の得票は瀬高氏より約2900票少ない最下位で、市民は継続より刷新を求めた。

 一方、選挙の投票率低下は一向に改善されない。今回のミニ統一選で選挙戦となった5市町長選のうち、佐野、日光両市長選は初めて50%を切り過去最低となり、さくら、高根沢両市町長選もそれぞれ前々回、前回を下回った。市町議選も同様の結果が相次ぎ、とりわけ足利市議補選(欠員1)の投票率は16・92%と1955年以降の県内選挙で最も低い投票率となった。

 選挙は民主主義の土台である。この深刻な現状を政治家や政党の責任に帰すだけでなく、有権者も真正面から向き合うべきだ。投票率向上の鍵はどこにあるのか、県選管なども一層知恵を絞りたい。今夏の参院選、来春にも続くミニ統一選では「過去最低」の選挙を一つでも減らしたい。