男女雇用機会均等法は1985年5月に成立し、今月で40年となる。2015年には女性活躍推進法も成立し、働く女性は増え続けている。しかし県内企業で働く従業員を対象に県が実施した意識調査によると、職場における男女間の格差は解消されたとは言えない。
今後、労働力人口が減ることも考えると、女性も男性も能力を発揮しながら働き続けられる環境づくりは急務だ。長時間労働の是正や人事管理制度の見直しなど、企業側の一層の取り組みが必要であることはもちろん、女性に偏りがちな家事育児の格差是正も進めなければならない。
雇用機会均等法は複数回の改正を経て、採用・昇進・教育訓練などでの男女差別の禁止、コース別雇用管理制度などにおける間接差別の禁止、妊娠・出産などを理由とする不利益取り扱いの禁止などが盛り込まれた。
県が昨年度実施した「働き方・女性活躍に関する従業員の意識調査」によると、「配属・配置」「人材育成」について4割程度が男女差があると回答。昇任・昇進については約半数が性差があると答えた。育児や介護がキャリアアップの制約になると考える人も半数を超え、女性ほど多い傾向にある。職場から期待されていると感じる人の割合は男性より女性の方が少なく、半数に満たなかった。
多くの職場に性別役割分担の意識が染みついていることが考えられる。企業側だけでなく、従業員側にも「夫より収入が高くなってはいけない」「女は一般職でいい」といった無意識の思い込みがあるのではないか。まずは、こうした意識を変えていきたい。
このほか男女ともに3割以上が「育児や介護をする立場になったら働き続けるのは難しい」と回答。また「管理職を目指したい」は2割余りで、男女差がなかった。
背景には、長時間労働や休暇の取りづらさへの懸念があるとみられる。企業は業務の効率化を進め、管理職を含めた残業削減を図る必要がある。育児や介護で欠員が生じる職場への手当なども検討に値するだろう。家事や育児などの家庭生活と仕事の両立支援制度は、男女双方に公正に運用されなければならない。
経済団体や行政が、課題解決のための取り組み例を周知し、企業間で共有することも一案ではないか。