各地区予選が今月開幕した本県アマチュアゴルフの最高峰、県知事盃争奪ゴルフ競技大会は本年度、第60回の節目を迎えた。男女計7部門で熱戦を繰り広げる同大会はアマゴルファーが老若男女、幅広く挑戦でき、とりわけ若手にとっては貴重な登竜門になっている。全国屈指のゴルフ場数を抱える本県の伝統ある大会として、末永く継承してもらいたい。

 最初の東京五輪から2年後の1966年、オープンの1部門に予選、決勝合わせて出場者延べ600人余りでスタートした大会は現在、7部門に延べ4千人超が出場するまでに成長した。

 注目すべきは出場者数だけでない。各部門の歴代優勝者には、男子は後に一時代を築いた中嶋常幸(なかじまつねゆき)をはじめ前田光史朗(まえだこうしろう)、松村道央(まつむらみちお)ら、女子は国内四大大会の日本女子プロ選手権を制した藤田(ふじた)さいき(知事盃優勝当時は幸希(さいき)、臼井麗香(うすいれいか)、吉川桃(よしかわもも)ら、プロの第一線で活躍する各選手が名を連ねる。

 大きな節目を迎えた大会に、前田選手は「今後も多くのプレーヤーに挑戦してもらって、栃木のゴルフレベルを上げてほしい」、吉川選手も「若い子の登竜門となっている県知事盃を長く続けてほしい」と期待を込める。アマ選手が力試しする舞台として、大会の存在意義は大きい。技術力向上にも大きな役割を果たしてきたといえる。

 一方で60年の歴史を積み重ねる中、幅広くなった出場者の年齢層や、温暖化に伴う暑さの対策などが求められている。人生100年時代にあって高齢のプレーヤーも挑戦できるよう、年代ごとの部門を細分化してはどうか。暑さ問題は運営側だけでは限界がある。各予選会場などで出場者同士が対応策を確認するような場を設けてもいい。運営側とプレーヤーとが手を携え、アマゴルファーの祭典を持続可能な大会にしていきたい。

 今大会の予選は県内各地の69ゴルフ場で7月末まで開催される。2021年の国の社会生活基本調査で、本県のゴルフ(練習場を含む)行動者率は全国平均6・9%を上回る8・0%だった。歴史ある大会、ゴルフ場に恵まれた環境にある本県。第60回の節目を機により多くのプレーヤーが出場し、競技としても、生涯スポーツとしてもプレーできるゴルフの魅力を改めて知ってほしい。