バスケットボールBリーグのチャンピオンシップ(CS)準決勝第3戦の宇都宮ブレックス(東地区1位)は19日、宇都宮市の日環アリーナ栃木で千葉J(同2位)と対戦、82-71で競り勝ち、通算2勝1敗で3季ぶり4度目の決勝進出を決めた。
ブレックスと千葉JがCSで戦うのは6度目だった。昨年までの計12試合はCS全対戦カードの中で最多。勝敗は6勝6敗と五分だったが、17~19日の準決勝3試合を終えて、15試合でブレックスが8勝7敗と勝ち越した。激戦の余韻が冷めやらぬ中、過去の対戦を当時の下野新聞記事とともに振り返りたい。(所属などは当時。日付は紙面掲載日)
■2016-17年準々決勝
ブレックス(東地区1位) 2(80-73、77-70)0 千葉J(ワイルドカード上位)
【第2戦】22点差ひっくり返す 全日本覇者に雪辱=2017年5月15日
誰がこの結末を予想しただろう。ブレックスは第2クオーター開始37秒時点で22点差とされ「瀕死(ひんし)の状態」からの大逆転。試合後、ポストシーズンホーム史上最多3998人の大観衆の前で「勝利を引き寄せたのはハートそのものだった」と言ったトーマス・ウィスマン監督の声は上ずっていた。
相手の戦術変更と自らのミスが重なり、試合自体が崩壊しかねない危機的状況にも、パニックにならなかった。選手が口々に「誰一人諦めていなかった」と振り返る通り、プラン通りのディフェンスと、スピーディーかつ丁寧なオフェンスで本来の姿を取り戻した。
立ち返るべき場所がある。守備からリズムを生み出すブレックスバスケット。それを全員が共通認識として持っているから、崩れない。
「考えに無駄がなくなって、シンプルに『まずは守備から』とチームが一つになった」とは須田侑太郎(すだゆうたろう)。ブレックスが一丸で勝利を目指す姿は、第4クオーターに仲間同士でいさかいを起こした千葉とは対照的だった。
主将の田臥勇太(たぶせゆうた)は局面で見せた結束を「信頼関係」と強調する。「信じ合って、助け合っていけるチームだと思っている」。ならばこの日の勝利は奇跡でなく必然といえる。全日本総合選手権覇者に雪辱を果たして得たものは、勢いだけではない。

■2018-19年準決勝
ブレックス(東地区2位) 0(67-75、83-88)2 千葉J(東地区1位)
【第2戦】意地の猛追及ばず ロシター不在の穴、最後まで響く=2019年5月6日
2季ぶりの王座奪還への道は準決勝で途絶えた。今季レギュラーシーズンで連敗がなかったブレックスが、千葉に2日連続で競り負けた。「敗因は僕」と唇をかんだ安斎竜三(あんざいりゅうぞう)監督は「僕の戦術を一生懸命やってくれた。ファンにも何かを伝えられたと思う」と選手たちをたたえた。
決勝進出に向けて崖っぷちに立たされた状況で逆風も吹いた。大黒柱のライアン・ロシターが全治2カ月のけがでベンチ外。それでもプレー時間を分け合い、チーム一丸で戦ってきたスタイルは揺るがない。前半は要所で高い集中力と激しい守備を見せ、相手のいい流れを断ち切った。
しかし、後半は徐々に主導権を千葉が掌握した。ゴール下に人数をかけられ、思うようにボールを奪えない。空中戦でも劣勢に立ち、リバウンド総数も30-43。竹内公輔(たけうちこうすけ)は「生命線のリバウンドで差を付けられた」。ロシター不在の穴を埋めきれなかった。
最大ビバインドは第4クオーター残り3分53秒の16点差。だが、そこから底力を発揮した。相手に徹底マークされる中、遠藤祐亮(えんどうゆうすけ)が2本の3点シュートを決めるなどし、残り24秒で5点差。最後まで体を張ったプレーで、逆転勝利を誰一人として諦めなかった。
死力を尽くした選手を責める者はいない。試合後、千葉ファンも一体となった栃木コールが会場全体を包み込んだ。
「来季もまた一丸となって、達成できなかった結果を出そう」。安斎監督はロッカールームで選手に語り掛けた。もう悔し涙は流さない。この敗戦からきっとはい上がってみせる。

■2020-21年決勝
ブレックス(東地区1位) 1(65-85、83-59、62-71)2 千葉J(東地区2位)
【第3戦】終盤の攻防一歩及ばず 勝負どころ欠いた決定力=2021年6月2日
終了のブザーが、男たちのシーズンの終わりを告げた。あと一歩。いや半歩のところで2度目の頂点に届かなかった。安斎竜三(あんざいりゅうぞう)監督は涙を浮かべる選手たちをかばった。「敗因は僕。こいつらは本当に頑張ってくれた」
歴史的な死闘だった。第4クオーター開始時点で50-50。両チームの意地と意地がぶつかり合った。比江島慎(ひえじままこと)はビックマンの待ち受けるゴール下に果敢に突っ込みスコアを動かす。直後にジェフ・ギブスがポストプレーから力でねじ込んでみせた。
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