東京と埼玉の境にある水元公園(東京都葛飾区など)には、江戸時代に治水のために造られた大きなため池「小合溜」がある。水郷の風景を楽しみながら、今年で開園60周年の公園を散策した。
最寄りのJR常磐線金町駅からバスと徒歩で訪れた。小合溜に沿うように曲線状に広がる公園は、東京ドーム約20個分の面積を誇る。小合溜のほとりにはベンチが設置され、思い思いにくつろぐ人の姿を見かける。
メインストリートとも言えるポプラ並木を通り、交流サイト(SNS)で人気の写真スポット「メタセコイアの森」へ入った。1500本ほど植えられ、木漏れ日が美しい。思わず深呼吸をしたくなるような森では、ピクニックをする女性グループや、敷物の上でお昼寝をする人たちも。
約10ヘクタールの中央広場で紙飛行機を追いかける男性がいた。水元公園が拠点の「みずもと紙飛行機クラブ」のメンバーだ。それぞれが独自に設計をし、厚紙で組み立てた機体を飛ばす。
風を読み、ゴムが付いた発進装置「カタパルト」で紙飛行機を打ち上げると、旋回しながら1分以上飛ぶこともある。10年ほど活動する代表の永井義章さんは「飛び過ぎて何機か見失ったことがあります。東京でありながら、これほどまでに飛ばせる広さがあるのがうれしい」と話す。
公園を出て、バスの車内放送を聞いて気になっていた南蔵院の「しばられ地蔵」を訪ねた。江戸時代の名奉行、大岡越前守が盗賊団を捕まえるのに役立った地蔵と伝わる。人の背丈ほどの高さがあり、参詣者が願掛けで縛った縄で、ぐるぐる巻きだ。
頭にも縄が巻かれているのに驚いていると、住職の日吉聖順さんが「受験生でしょうね」と教えてくれた。年に1度、大みそかの供養で縄が解かれると、ほっそりとした地蔵が現れるそうだ。
【メモ】南蔵院の「しばられ地蔵守」は警察官からも人気。時効成立の直前に窃盗犯を逮捕できたと、刑事がお礼参りに訪れたこともあるとか。