高校野球は春の県大会と関東大会が終了し、7月10日には夏の甲子園出場を懸けた選手権栃木大会が開幕する。夏は例年、大会の展望で春の上位校が本命に挙げられ、今年も春を制した佐野日大、準優勝の作新学院などを中心に激戦となるのは必至だ。歴代の県大会成績を振り返ると、近年は春夏を連覇したチームは意外にも少なく、春王者の多くが「夏の怖さ」を味わっていた。全国大会につながらず、夏のシード権争いの色合いも濃い春の県大会。近年の大会成績をひもとき、夏の大会の傾向を探った。

春季県高校野球 4年ぶり7度目の優勝を果たし、笑顔で駆け出す佐野日大ナイン=5月4日
春季県高校野球 4年ぶり7度目の優勝を果たし、笑顔で駆け出す佐野日大ナイン=5月4日

 過去10年間(2013年秋~24年夏)の大会成績を振り返ると、春と夏を連覇したのは14、15、18年の作新学院だった。つまり、春の優勝校が夏も制した確率は30%にとどまる。春を優勝したチームの70%は、夏の甲子園出場権を獲得できず涙をのんだことになる。

 過去20年間をさかのぼると、春優勝校の甲子園出場確率は20%にまで下がる。特に1997~2008年は、12年連続で春と夏の優勝校が異なっていた。

 ちなみに県優勝校が甲子園に出場するようになった1975年以降の50年間でみると、春優勝校の甲子園出場確率は22%だった。74年以前は北関東の代表校が出場していた。

近年の春優勝校は

 記憶に新しいのが24年だ。白鴎大足利は、150キロ超右腕・昆野太晴(こんのたいせい)(現白鴎大)ら充実した戦力を擁し、春の県と関東大会を制した。しかし本命視された夏は、初戦となった2回戦で敗退。延長十回タイブレークの末、鹿沼商工に2-3で敗れた。