バスケットボールBリーグの宇都宮ブレックスが3季ぶり3度目の優勝を果たした。レギュラーシーズンもリーグ最高勝率で、年間王者を決めるプレーオフのチャンピオンシップ(CS)決勝では今季の天皇杯王者の琉球を下し、文字通り真の日本一となった。成し遂げた選手やスタッフをたたえたい。

 1勝1敗で迎えたCS決勝最終戦は、手に汗握る一戦だった。最大12点差をつけられながら追い付き、第4クオーター終盤は1点を争う展開となった。73-71で逆転勝利した激闘はBS放送などで生中継され、バスケットボールの醍醐味(だいごみ)を味わった県民も多かったに違いない。

 優勝3度はリーグ最多だ。地元に根差したプロスポーツトップリーグ有数の強豪が身近に存在することは、郷土の誇りである。

 強豪には実業団を母体とし、現在も大企業がスポンサーのチームが少なくない。実業団がなかった本県で有志の運動を契機に2007年に設立されたブレックスは、多くの地元企業がスポンサーとなりファンや自治体が支えてきた。Bリーグはもちろん、「地域に根差したスポーツクラブ」をうたうサッカーJリーグなどの理念に比しても、理想像と言えるだろう。

 支えるファンを引きつけ、さらに増やすには来季以降も優勝争いを期待したい。主力選手が軒並み30歳を超えるブレックスは近年、世代交代が懸案とされてきた。今回のCSでは20代の若手が勝利に貢献する活躍を見せた。来季への好材料と言える。

 ファン拡大に新アリーナ計画も課題となっている。現在のブレックスアリーナ宇都宮(宇都宮市体育館)は観客席数約5千人で、試合は連日満員となりチケットの確保が難しい。ブレックスはより収容力のある新アリーナ計画を進めているが、協力企業との交渉が難航し当面は現アリーナ改修でしのがざるを得ない状況だ。日本一のチームにふさわしいアリーナの実現に向け、宇都宮市などはより一層の支援に注力してほしい。

 31日には同市中心部で優勝記念パレードが行われる予定だ。22年の前回優勝時は新型コロナウイルス禍で制約がある中、約3万5千人(主催者発表)が駆け付けた。今回もパレードに沸く光景を見れば、ブレックスの存在価値を誰もが認めるに違いない。