宇都宮市が計画する同市福岡町の市森林公園の再整備について、施設のリノベーションを担う指定管理者が建設費高騰などを理由に工事に着手できていない問題で市は12日、指定管理者の共同事業体から基本協定の解約の申し出があったことを明らかにした。市は対応を検討中で、再整備事業は仕切り直しとなる可能性が出てきた。
同日の定例市議会で馬上剛(うまがみごう)氏が質問し、市魅力創造部の手塚直毅(てづかなおき)部長が答えた。
同公園内の施設の老朽化に伴い、市は2021年5月に再整備方針を策定。自然を生かした体験型観光地への転換を目指し、赤川ダム周辺にあるサイクリングターミナル、自然休養村管理センター、少年自然の家、キャンプ場などの再整備を打ち出した。
市は23年12月、ホームセンターのカンセキ、宇都宮ブリッツェンを運営するサイクルスポーツマネージメント、アウトドア事業のエム・アール・ピー、不動産業のビルススタジオの市内4社による共同事業体と、同公園の再整備や指定管理に関する基本協定を締結した。
市は施設の修繕費などとして、昨年度までに計約3億8千万円の予算を計上。共同事業体はリゾートホテルの整備などを担い、今年4月のリニューアルオープンを予定していた。
建設費高騰などで昨秋時点でも未着工だっため、市は文書で指導。事業計画の見直しを求めたところ今年2月、事業内容の縮小や宿泊施設の段階的な整備など、大幅に変更された計画が提出された。
専門家も交え市が検証を進める中、共同事業体は5月、人件費や原材料費の高騰などで再整備の早期実現は難しいとして、協定解約を申し出た。下野新聞社の取材に対し、代表企業のカンセキは「当初、お約束した内容を早期に実現していくのは難しいと判断した」としている。