男女平等の実現度合いを示す世界経済フォーラムの2025年版「ジェンダー・ギャップ指数(GGI)報告」で、日本は昨年に続き148カ国中118位だった。先進7カ国(G7)では不動の最下位であり、下から2番目のイタリアの85位にも引き離されている。

 折しも、日光市で開かれたG7男女共同参画・女性活躍担当相会合で「日光声明」が採択されてから、25日で2年となる。開催県として、男女格差是正に向けた取り組みを、改めて足元から推進していきたい。

 GGIは政治、経済、教育、健康の4分野で男女格差を分析してスコア化する。「完全に平等な状態」を1とした場合、日本は0・666。総体的に見て、日本の女性は男性に比べ7割以下の地位や扱いにとどまっているということになる。

 分野別に見ると、特に足を引っ張っているのが政治だ。昨年のスコア0・118(113位)から、0・085(125位)に後退した。岸田(きしだ)内閣で5人いた女性閣僚が、昨年10月発足の石破(いしば)内閣で2人に減ったことが響いた。

 衆院議員の女性比率は15%(5月14日現在)と低迷している。れいわ、共産、国民、立民が20%を超えるのに対し、政権与党の自民は9%。男性中心の意思決定過程では、人口の半分を占める女性が直面する課題の多くが見過ごされかねない。

 本県関係では12年に引退した旧民主党の玉木朝子(たまきともこ)氏以降、女性衆院議員の当選者はいない。女性議員を増やすため、比例名簿順位を男女交互にする、女性を上位に据えるなど、政党が本腰で臨むならできない話ではない。有権者も各党の姿勢をしっかり問うべきだろう。

 経済分野はスコア0・613(112位)と、前回の0・568(120位)から改善したものの、やはり世界に差を付けられている。女性の労働参加や能力に応じた企業の管理職・役員登用をさらに進め、男女間の賃金格差を縮小させる努力が求められる。

 賃金格差は23年に全国で最大となった本県にとって、大きな課題である。今年3月に発表された厚生労働省の24年の賃金構造基本統計調査によると、フルタイムで働く労働者の男性の給与水準を100とした場合、女性は75・8で、23年より1ポイント改善した。本県の女性は74・0で、最下位だった23年の71・0より3ポイント改善した。しかし全国平均を下回っている。

 県は本年度、男女間格差の是正に取り組むことを条件に、賃上げを実施する中小企業を対象に「とちぎ賃上げ加速・定着支援金」を支給する。来年1月末まで申請を受け付けており、県労働政策課によると現時点で約30社から申請があるという。少しでも多くの企業が名乗りを上げることを期待したい。

 このほか県は「働く女性のキャリア相談」を来月にも開設する。結婚、出産、育児と仕事の両立、働き方、職場の人間関係などの悩みを、専門のキャリアコンサルタントに無料で相談できる。働くことを望む女性が、働き続けられるよう後押ししてほしい。

 国や行政の取り組みだけでなく、男女一人一人が意識を変えることも、男女格差の是正につながる。