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 大阪市の人工島・夢洲(ゆめしま)で開かれている大阪・関西万博で27日、本県ブースの公開が始まった。初日から多くの来場者が訪れ、本県の食や自然、歴史の魅力に触れた。県は29日までの3日間で6千人ほどの来場を見込んでおり、関西圏や世界に本県の良さを伝え、認知度向上や観光客増などにつなげる。

多くの来場者でにぎわう本県ブース
多くの来場者でにぎわう本県ブース

 本県ブースは催事場「EXPOメッセWASSE」内に設けられた。飲食エリアではギョーザやそば、クラフトビール、地酒、日光の天然氷を使ったかき氷などが販売され、昼ごろには長い行列ができた。

 竹林のモニュメントや全長3メートルの竹製アユのオブジェ、四季折々の映像をプラネタリウムのように見ることができる球体ドームシアターが来場者の注目を集め、ブース内で写真撮影をする人が絶えなかった。

 環境配慮の一環として、一部の飲食は竹の皿やサトウキビ製のコップで提供したほか、電気を使わず氷で冷やす木製冷蔵庫も取り入れた。

本県ブースのオープニングセレモニーで記念撮影に応じる福田知事(左から4人目)ら
本県ブースのオープニングセレモニーで記念撮影に応じる福田知事(左から4人目)ら

 午前10時ごろから行われたオープニングセレモニーには福田富一(ふくだとみかず)知事や池田忠(いけだただし)県議会議長らが出席し、福田知事は「栃木県の良さを実感してもらえる機会にしたい」とあいさつした。

3府県の合同セレモニーで笑顔を見せる福田知事(左)と池田県議会議長(左から2人目)
3府県の合同セレモニーで笑顔を見せる福田知事(左)と池田県議会議長(左から2人目)

 栃木市在住の墨絵作家荒川颼(あらかわしゅう)さんが、手に付けた墨で本県ブースのキーメッセージ「山水共里(さんすいきょうり)」を書き上げると、会場から大きな拍手が沸き起こった。

 徳川宗家19代当主の徳川家広(とくがわいえひろ)さんや福田知事らによる記念セッションでは、江戸時代から重要視されていた本県の歴史や、星空のきれいさ、農家民泊への人気が高まっていることなどをPRした。

 式典を終え福田知事は「予想以上のにぎわいだ。スタッフは気合も十分で、心も込めている。栃木県のよさを実感すれば訪れてもらえる。3日間で成果を出し、栃木県の活性化につなげたい」と強調した。

 28日はオリジナルソング「山水共里」を歌う相川七瀬(あいかわななせ)さんによるトークセッションが行われる。

■大にぎわい、嬉しい悲鳴

多くの来場者でにぎわう本県ブース
多くの来場者でにぎわう本県ブース

 大阪・関西万博会場に出展した本県ブースは、初日の27日から運営側の想定を超える大にぎわいとなった。「自然豊か」「食べ物がおいしい」-。四季折々の風景や観光名所を映像で見られる球体ドームシアターや飲食エリアは行列ができ、展示エリアの来場者も途切れなかった。飲食スタッフは店の垣根を越えて協力し合い、「大変だが魅力をPRできてありがたい」とうれしい悲鳴を上げた。

 「栃木県に行きたくなった」

 30分ほど待ってドームシアターの映像を見終えた愛知県長久手市、会社員河村香里(かわむらかおり)さん(55)は興奮気味に語った。

 予約不要のためたまたま訪れた本県ブース。「臨場感のある映像で吸い込まれた。桜、滝、新緑どれもきれいで、実際に日光東照宮を訪れたい」と笑顔をみせた。

 本県ブースは体験、展示、飲食の三つのエリアで構成。飲食エリアではブースを囲うように長い列ができた。

 「日光天然かき氷」を食べた広島市尾道市、会社役員田坂伸二(たさかしんじ)さん(56)は「かき氷は苦手だったが、これはおいしい。氷が全然違う」と満足げ。妻珠美(あけみ)さん(57)は「今度は栃木県に旅行して、また同じかき氷を食べたい」と話した。

本県ブースの限定ビールや日光社参巻を食べ笑顔を見せる来場客
本県ブースの限定ビールや日光社参巻を食べ笑顔を見せる来場客

 予想以上の来場者数に、店側は商品提供で終日大わらわだった。本県産のヤシオマスやかんぴょうなどを使った巻きずし「日光社参巻」を提供する水産仲卸「苅込(かりこみ)」(宇都宮市簗瀬町)の苅込陽加(はるか)取締役(27)は「想像の倍以上の来場者。追加で食材を手配した」と汗を拭った。

 混雑解消に向け、異なる店のスタッフ同士が助け合って案内や配膳を協力し合った。苅込取締役は「店は違うがお互い栃木県をPRする代表。一体感と情熱を持って来場者に接したい」と力を込めた。