下野新聞の夏の全国高校野球選手権栃木大会の名物連載「白球の詩」。ともに夢を追った仲間との日々、胸に秘めた覚悟、知られざる親子の葛藤…。連載が始まった1980年以降の紙面から、心を揺さぶる珠玉のストーリーの数々を紹介します(7月9日まで毎日配信予定)。記事一覧はこちら

【白球の詩】2011年(第93回大会)宇都宮・藤田光明監督、藤田祐亮外野手

 「一日でも長く父と野球を」「もう1打席だけ息子に打たせたい」-。宇南のコールド勝ちが成立した瞬間、宇都宮の藤田光明監督、祐亮親子の特別な夏が終わりを告げた。

 小学4年から野球を始めた祐亮は、父から野球を教わったり、野球で褒められた記憶がない。「自分は認められていない」。猛勉強して県内屈指の進学校へ進んだのも、宇東で監督を務めていた父への反骨心だった。