学校給食費の保護者負担を巡り、県内の自治体で対応が二極化している。下野新聞社の調べによると、2023年度以降では6市町が補助を拡大して保護者負担を減額、7市町は物価高騰などを理由に増額した。減額幅、増額幅もそれぞれ1年間で万単位の額になる市町も少なくない。
物価高騰の影響は誰もが受けている。住んでいる自治体によって負担額が大きく異なるばかりか、格差が拡大しているのは見過ごせない。
国は26年度から学校給食費の無償化を小学校から導入することを目指しており、中学校でもその後速やかに導入するとしている。だが具体的な制度設計は示されておらず、「市町の負担が増えてしまうのでは」との懸念の声もある。国は早急に制度設計を示すとともに、負担の平準化に向けて県も努力すべきだ。
保護者負担を減額したのは宇都宮、日光、矢板、野木、塩谷、那珂川の6市町。このうち日光と那珂川は子育て支援などを理由に無償化している。
逆に増額したのは大田原、下野、上三川、高根沢、益子、市貝、壬生の7市町。補助額を増額しても物価高騰に追いつかないなど、各市町とも苦しい財政事情を訴えている。
物価高騰に賃上げが追いついていない現状で、各市町が保護者負担軽減のため補助額を増額していることについては理解できる。だが、真に支援が必要な生活困窮世帯にはその恩恵がないことは、指摘しておかなければならない。生活保護などの制度で既に無償化となっており、格差是正の観点に乏しい。
重度アレルギーなどによって、給食を食べずに弁当を持参している児童生徒の保護者らにも、公平性の観点から何らかの配慮が必要となろう。
文部科学省は昨年公表した学校給食に関する実態調査の中で、独自に給食無償化している自治体がその目的を「子育て支援」「少子化対策」としていたものの、「成果目標の設定や検証などを実施している自治体は少数だった」と指摘している。
本県で給食無償化に必要とされる財源は、概算で年間約84億円とされる。これだけの巨費を毎年投じる以上は、それに見合った成果が求められる。税負担の公平性の観点からも、恩恵を受けない世帯の理解も得られるような施策にすべきである。