» 動画ページへ

 栃木県と軍隊の関わりや戦禍の影響などをひもとく栃木県立博物館の特別企画展「とちぎ戦後80年 いま、おやと子で知る軍隊・戦争と栃木」が始まるのを前に11日、開会式が行われた。企画展では400点近い資料を展示し、戦争が本県に残した爪痕や当時を懸命に生きた県民の姿を伝える。12日に開幕する。

学芸員から展示物の説明を受ける関係者=11日午後2時20分、県立博物館、近藤文則撮影
学芸員から展示物の説明を受ける関係者=11日午後2時20分、県立博物館、近藤文則撮影

 開会式には関係者約50人が出席した。福田富一(ふくだとみかず)知事は、激戦地パラオ・アンガウル島で祖父が戦死しており「戦争経験者の生の声を耳にする機会は減った。県としても戦争の記憶と平和への思いを次世代に継承していかなければならないと考えている」と述べた。

 展示では、徴兵令が発布された明治時代にはじまり、宇都宮に陸軍第14師団が誘致された背景と軍隊の生活、620人以上が犠牲となった宇都宮空襲や終戦後のシベリア抑留などを解説している。空襲で投下された焼夷(しょうい)弾や出征者を見送る際ののぼり旗などさまざまな資料が、子どもでも分かりやすいよう視覚的に工夫して展示されている。

 県立博物館特別研究員の小栁真弓(こやなぎまゆみ)さんは「戦争に翻弄(ほんろう)された人々の人生が感じられるようこだわった。目で見て分かる資料も多く選んだので、ぜひ親子で来館してほしい」と呼びかける。会期は8月31日まで。