19日は土用の丑(うし)の日。県内のウナギ料理店には、暑さを乗り切るスタミナを付けようと多くの人が訪れ、忙しさのピークを迎える。今年は31日も丑の日で、2009年以来16年ぶりに7月中に2回巡ってくる珍しい年。19日から3連休となる日の並びもあって、県内の百貨店やスーパーでも、物価高騰が続く中、幅広い価格帯やシェアできるサイズでお得感を打ち出すなど工夫を凝らして客足の伸びに期待を寄せる。

宇都宮市中央本町の「鰻(うなぎ)割烹(かっっぽう)中村」では、7月に入り土日は満席が続く盛況ぶり。18日も開店直後から予約客らが続々と訪れた。
4代目社長の中村明宏(なかむらあきひろ)さん(58)が、静岡県産のウナギを特製のたれに浸しながら、ふわっとやわらかくなるように焼き上げていくと、調理場は「ジュージュー」という音と香ばしい匂いに包まれた。中村さんは「ウナギは生命力が高く、夏バテ防止にぴったり」と笑顔を見せた。

東武宇都宮百貨店宇都宮本店では、地下1階の一角に国産ウナギの長焼きやうな重がずらりと並ぶ。担当者は「丑の日だからこそ国産を味わいたい人は多い」とみる。手に取りやすい価格から4千円台の長焼きまで幅広い価格帯をそろえた。
コロナ禍で人気だった予約販売から、ここ1、2年は店頭で購入する動きに戻りつつある。「今年は丑の日が土曜日なのでぜひ来店して吟味してほしい」と呼びかけた。
スーパーのオータニ(宇都宮市平出工業団地)は19日からの3日間、重点的に販売する。18日には関東甲信地方で梅雨が明け、担当者は「酷暑を乗り切ろうとウナギを食べる人は多いはず」と見据える。鹿児島県産かば焼き1922円、中国産うな重は1058円と手頃な価格帯を充実させた。

県内に5店舗あるイオンでは、複数人で取り分けられるかば焼きを販売する。特大サイズは200グラムで3218円。節約志向が高まる中、昨年「家族でシェアできてコスパがいい」と好評だったため、今年も力を入れる。
水産庁によると、25年漁期におけるニホンウナギの稚魚は5年ぶりの豊漁で、取引価格は前年の半値近くで推移する。養殖に半年~1年程度かかるため、消費者が安く購入できるのは数カ月後とみられる。