県猟友会那須北支部長の小川氏

 那須塩原市内で6月末から7月初旬にかけ、人がクマに襲われて負傷する被害が3件相次いだ。このうち1件は民家や学校が集まる同市埼玉(さきたま)の市街地が現場となり、県内では市街地でのクマによる人身被害は初めてだった。全国的にも人里近くに出没し、人を怖がらない「アーバン・ベア」が問題になっている。県猟友会那須北支部の小川次男(おがわつぎお)支部長(81)にクマの生態や市街地に出没する理由、効果的な対策などを聞いた。      

 -埼玉でのクマによる人身被害をどう受け止めるか。

 「いつ、どこでクマが出没してもおかしくない時代になったということ。自然災害と同じで防ぐのが難しいので、常に『まさか』を考えて行動することが大切だと考えている」

 -クマが市街地など人里近くに出没する理由は。

 「クマの個体数が増えてブナやミズナラ、コナラの実など本来のエサが減ったため、麓まで下りてきているのではないか。人里の食べ物の味を学習した個体が定着することもあるのではないかと思う。クマによるものと思われるトウモロコシの食害が実際に市内で確認されている。繁殖期は雄グマの行動範囲が広くなって子グマを襲うこともあるため、母グマは雄が近くにいると子グマを連れて逃げる。気が立っていて行動範囲が広くなる」