次世代型路面電車(LRT)の開通後に生じた送迎バスの大幅減便に対応しようと、通勤・貸し切りバス運行のキャリー交通(八下田達哉(やげたたつや)代表)は4日までに、宇都宮市今宮4丁目の本社敷地内に事前予約・決済制の駐車場を整備した。バスを別の拠点に移し、スペースを有料駐車場とすることで新たな収益の柱とする考え。県総合運動公園に近い立地を生かし、イベント時の混雑を避けたい利用者ニーズへの対応を狙う。
同社は1983年の創業以来、宇都宮市清原工業団地の大手企業向けに、JR宇都宮駅から社員のバス送迎を行ってきた。しかし、LRTの開業で一転した。
ある企業向けに1日約60便運行していたバスは、今年7月には8便に減り、2億数千万円の収益減となった。運転士数人をリストラした他、最大約25台あったバスを売却し約10台に減らすなどした。
そうした中、プロスポーツの試合日など、同公園周辺の有料駐車場が大混雑する状況からパーキング事業に着目。本社は同公園の南東側に位置する。近隣のスーパーなどでは無断駐車のケースもあり、安心安全に駐車できる選択肢を増やそうと考えた。
まずは乗用車10台分を整備し、7月から運用を開始。バスを清原営業所に集約し、最終的には60台分を確保する。2次交通としてレンタサイクルも用意した。利用者はインターネットで事前に予約と決済する。料金は1日2200円。
八下田代表は「便利になる世の中の陰で環境の変化に対応しようと頑張っている企業はたくさんある」と話す。今後はカフェの開設や自主的な催しも検討している。