破産手続き開始が決定した「パレット」の下戸祭店=5日午後、宇都宮市下戸祭2丁目

閉店した「フルーツダイニングパレット」パセオ店=5日午前、宇都宮市川向町

破産手続き開始が決定した「パレット」の下戸祭店=5日午後、宇都宮市下戸祭2丁目 閉店した「フルーツダイニングパレット」パセオ店=5日午前、宇都宮市川向町

 「フルーツダイニングパレット(8010)」を運営する「パレット」(宇都宮市下戸祭2丁目、柳田慎治(やなぎたしんじ)代表)が宇都宮地裁から破産手続き開始決定を受けたことが5日、帝国データバンク宇都宮支店と東京商工リサーチ宇都宮支店の調べで分かった。開始決定は4日付。負債は2024年6月期末時点で約2億1500万円。県内でフルーツサンドの人気を広める先駆的な店として知られた。

 同社は1898年に果物店として創業。西洋料理のレストランを経営し、宇都宮市内に3店舗(下戸祭店、パセオ店、宇都宮美術館店)を展開していた。

 新鮮なフルーツと生クリームをパンではさんだフルーツサンドを看板商品とし、両支店によると、ピーク時の2021年6月期には売上高2億5900万円を計上していた。

 一方、店舗運営や事業展開とともに設備投資がかさみ、人件費などの維持管理費が増加。販売価格への転嫁を行うことができず、慢性的な赤字体質で資金繰りが逼迫(ひっぱく)し事業継続を断念した。

 柳田代表(78)は下野新聞の取材に「栃木のイチゴを使ったフルーツサンドの元祖という自負でやってきたが、長らく経営が苦しく、苦渋の決断を下さざるを得なかった」と話した。

 下戸祭店は8月3日で閉店した。5日午後、友人と訪れた小山市、保育教諭女性(37)は「味はもちろん、おしゃれな店の雰囲気も気に入っていた。本当に残念」と驚いていた。

 宇都宮美術館では、22年9月からパレットがレストランを運営していた。美術館の指定管理者の担当者は「夏休みに飲食を提供できないのは残念。宇都宮市と話し合って今後を検討していく」と話した。