甲子園で開催中の第107回全国高校野球選手権大会に9日、栃木代表として青藍泰斗が登場する。甲子園出場は35年ぶりで、栃木大会では34年間で準優勝6回と「あと一歩」の悔しさを何度も味わってきた。75回栃木大会(1993年)の準優勝時(当時は葛生)の主将で、現在は社会人野球・北海道ガス監督の工藤賢二さん(50)に思いを聞いた。

ミーティングで選手たちに説明する工藤さん(右)
ミーティングで選手たちに説明する工藤さん(右)

 工藤さんは、チームの練習後にネットのニュースで母校の優勝を知った。「よく勝ったな、ついに打破したな、と思いました。いつも決勝で負けていたので」。喜びと安堵が入り交じった表情だ。

 「試合結果はいつも気にしていて、仲間とも連絡を取ってます。栃木大会の展望とか、いろいろと知らせてくれる人がいるんです。今年は運もあるのかなと感じていました」

 穏やかな話しぶりは、乗り越えてきた悔しさの裏返しにも見える。自身が出場した75回大会決勝では、勝ち越しのチャンスを相手のスーパープレーで阻まれ、延長の末1点差で敗れた。また「一度だけ観戦に行った」という95回大会の決勝では、青藍泰斗が9回二死走者無しから逆転を許し、やはり1点差で力尽きた。

 工藤さんは駒澤大、東芝へと進み内野手として活躍。両チームでも主将を務め、優勝も経験した。頂点に届かなかった高校時代を「宇賀神(修)監督に教わって、野球観の『引き出し』が増える時期だった」と振り返る。

ノックをする工藤さん
ノックをする工藤さん

 青藍泰斗に送るメッセージを聞かれると「私は甲子園の出場経験はないので…」と謙遜する。チームについては「若い監督で選手との距離が近いのかな。走塁がいいと聞いているので、足でかき回してほしい。左投手も面白い」と分析した。

 「青いユニホームも斬新でいい。自分も新しいことをやるのが好きなので」。名門の東芝で監督を務めた後、2023年から新興チームの北海道ガスで指揮をとる工藤さん。甲子園期間中は北海道で試合があり、テレビで母校を応援するという。