» 動画ページへ

 首都カンパラから北に約25キロの農村地帯。国立作物資源研究所の乾いた畑に、青々とした稲が整然と並んでいた。「New Rice for Africa」。頭文字を合わせて「ネリカ」と呼ばれる陸稲だ。

 高収量のアジア稲と病気や雑草に強いアフリカ稲の交配で1992年に開発された。乾燥したアフリカの環境に適しており、短期間で成長し収量も多い。

ネリカ米について説明するJICA稲作専門家の宮本さん
ネリカ米について説明するJICA稲作専門家の宮本さん

 「収量を上げるには水が重要。安定的に雨が降るウガンダは非常に恵まれた環境です」。国際協力機構(JICA)の稲作専門家宮本輝尚(みやもときしょう)さん(38)が解説してくれた。湿地帯の多い東部地域では水稲の栽培も盛んだという。

コメ生産量、10年で3倍に

 JICAは2004年、ウガンダでの稲作支援を本格化させた。08年のアフリカ開発会議(TICAD)で当時の福田康夫(ふくだやすお)首相がアフリカのコメ生産量倍増を表明したことを受け、10年には同研究所内に推進拠点を設置。アフリカ各国から訪れた農村のリーダーにノウハウを授けている。

 過去10年でウガンダのコメ生産量は3倍以上に増えた。保存も調理も簡単なことから都市部を中心にコメ需要は高い。他の穀物より高額で売れるため、うまく栽培すれば暮らしが潤う。

JICAが整備した稲研究・研修センター
JICAが整備した稲研究・研修センター
コメが栽培されているウガンダの農村地帯
コメが栽培されているウガンダの農村地帯

 ただ、生産効率は依然として低いのが実態だ。

 同国では人口の7割が農業に従事するが、大半が自給自足生活の小規模農家とされ、農業の国内総生産(GDP)への貢献度は2割台にとどまる。消費が伸びるコメの確保もアジア米の輸入に頼らざるをえない。