真岡市小林の市総合運動公園内に今春誕生した「真岡ハイトラ運動公園市民球場」が、独立リーグ・ルートインBCリーグの栃木ゴールデンブレーブス(GB)の公式戦や高校野球の会場として使用されるなど早くも存在感を示している。今後も各種大会の誘致やイベントで県東地域の野球熱を盛り上げ、競技人口の裾野拡大につなげたい。
同球場は両翼98メートル、センター122メートル。内野は土、外野には天然芝が張られている。約3千人を収容でき、屋外ブルペンやナイター設備、最新の発光ダイオード(LED)スコアボードを備える。公認野球規則の規格を満たし、硬式野球の公式試合にも対応する本格的な野球場だ。真岡市が国の交付金などを含め総事業費約20億7千万円を投じて整備した。
北関東道の真岡インターチェンジから近く、県南地域からもアクセスが良い。県高野連が早々に、春季県高校野球大会や夏の甲子園が懸かる全国選手権栃木大会の会場として使用を決めたのも納得できる。高校野球のメイン会場となっている県総合運動公園エイジェックスタジアムや清原球場に比べ、駐車場から球場まで近いというのも長所だ。
課題を挙げるならスタンドでの応援環境か。内野のみをカバーする約1300席のスタンドは、ブラスバンドを駆使した大規模な応援を展開するには手狭な印象を受ける。強豪同士の試合の際などは、応援団と一般観客の双方が快適に試合を観戦できる工夫が必要となろう。
本県ではこれまで、県東地域の高校が夏の甲子園切符を勝ち取ったことがない。このため市スポーツ振興課は地域の野球熱高揚を見据え、同球場を「市民に愛され、人々が集うボールパークにしたい」との意向を示している。
既に多くのイベントを計画し、先月19日には「真岡市民デー」と銘打ち、市民らを対象に栃木GB公式戦の入場料を無料とした。間近で見られるプロの試合は子どもたちの大きな刺激になったはずで、球場を発信源とした裾野の広がりに期待したい。
今後は野球教室や体験会といったソフト面の積極施策を展開し、スポーツツーリズムの創出にも注力していきたい。他地域から活発な人流を生み出せれば、経済効果とともに地域活性化へ向けた新たな発想も生まれてくるはずだ。