「消防博物館」で消防車の展示を見る親子=東京都新宿区

 石畳の路地=東京都新宿区

 「荒木町舞台 津の守」で客と談笑するふみ枝さん(右)=東京都新宿区

 住宅に囲まれた策の池=東京都新宿区

 杉大門通り=東京都新宿区

 江戸の火消しのジオラマを見学する人たち=東京都新宿区の消防博物館

 新宿区荒木町かいわい

 「消防博物館」で消防車の展示を見る親子=東京都新宿区  石畳の路地=東京都新宿区  「荒木町舞台 津の守」で客と談笑するふみ枝さん(右)=東京都新宿区  住宅に囲まれた策の池=東京都新宿区  杉大門通り=東京都新宿区  江戸の火消しのジオラマを見学する人たち=東京都新宿区の消防博物館  新宿区荒木町かいわい

 かつて花街として栄えた新宿区荒木町。200軒ほどの飲食店がひしめく街は、歴史の面影を残す。最寄りの東京メトロ丸ノ内線四谷三丁目駅から歩いた。

 まずは、駅すぐ上にある、消防署と併設の10階建てビル「消防博物館」へ。江戸の火消しから最新装備まで消防の進化の歴史が見渡せる。

 入り口で消防ヘリ「ちどり」に迎えられ、地下1階に下りると、大正から平成にかけて活躍したはしご車やポンプ車がぴかぴかに手入れをされた状態で並んでいた。涼みに寄った人が見入っていることもあるそうだ。中国から来た女子大学生のグループは「(江戸時代の火消しの)錦絵が面白かった」と満足そう。

 博物館から徒歩数分で荒木町に。車力門、柳新道、杉大門の三つの通りが走り、ところどころにある石畳の路地が風情を醸す。すり鉢状の地形で、緩やかな石段の坂を下ると、徳川家康がタカ狩りの際に馬のむちを洗ったという言い伝えが残る「策の池」に着いた。

 一帯は江戸時代、松平摂津守の上屋敷があり、明治以降、景勝地から花街へと発展した。宅地開発で池は小さくなったが、コイやスッポンが泳ぎ、庭園のような趣が往時の名残をとどめる。

 花街の歴史は昭和で幕を下ろしたが、車力門通りに近いビル3階に2023年、お座敷ライブハウス「荒木町舞台 津の守」がオープン。元赤坂芸者のふみ枝さんが主宰し、ヒノキの舞台をしつらえた畳敷きの広間でお座敷文化を体験できる。

 訪ねた夜は、女性客3人がふみ枝さんら芸者2人と話に花を咲かせ、三味線の生演奏で日本舞踊を楽しんだ。初めて来た会社員の上地里絵さんは「フレンドリーで華やかな雰囲気にはまってしまいそうです」。

 店を出ると、通りに並ぶバーやスナックの看板の奥から笑い声やギターの音が聞こえてきた。さて次は、どの店の扉を開けようか。

 【メモ】津の守のお座敷文化体験は木曜日。事前チケット制で1万1千円。