
次世代型路面電車(LRT)の安全走行を下支えする4年に一度の法定検査「重要部検査」が、運行会社「宇都宮ライトレール」(宇都宮市下平出町)の車両基地で行われている。車両を分解し、1編成(3両連節)につき33もの工程を7週間にわたって整備する。2024年度からの3年間で、全17編成を完了する予定。6月中旬から約2カ月間、主要な11工程をカメラで追った。(写真映像部 永嶌理絵)
検修庫

車両の整備は車両基地南側の「検修庫」で行われる。屋内に7本線路があり、このうち5本は車体下も整備できるよう深さ160センチに掘られている。線路3本分にわたって掘られたフルピットでは交番検査、月検査を実施。台車を抜いた状態の車体が置けるように掘られたセンターピットでは重要部検査と全般検査を行う。平場の線路は車体のラッピング作業や塗装を行う。
①車体上げ
車体を大型ジャッキ6機で1メートル近く浮かせ、車輪などを含む台車3台を押し出す。車体と台車の間には動力を伝えるための配線がびっしり。全てを外し、傷んでいる部品は交換、手入れする。

輪軸や駆動装置、ブレーキ装置などが一体となった台車は1台3・5トン。専門業者に運び入れて各部を解体、超音波を使って損傷の有無を検査する。車輪も外し、別の専門業者が削り直す。
②台車洗浄
専門業者に移す前に、台車を高圧洗浄機で洗う。事前に溶接部のひび、部品の緩みがないかを点検。駆動装置周辺をビニールで保護したら、車両移動機で洗車場まで運搬する。
「最初は手で1台ずつ押していた」と言うが、3台同時に運べるよう連結部品を手作りした。

台車は泥や油汚れで真っ黒。厳しい日差しの下、雨具を着込んだ検修員が油まみれ、汗でずぶぬれになりながら1時間洗い続けた。
③空調整備
残り:約 3231文字/全文:4178文字
下野新聞デジタルに会員登録すると…
- 事件事故や高校野球・イベントなど速報でとちぎの「今」が分かる
さらにスタンダードプランなら…
- デジタル有料記事の大半が読める
- 教育や仕事に役立つ情報が充実
愛読者・フルプランなら…
- アプリも使えて、おくやみ情報もいち早く