
ロシアによるウクライナ軍事侵攻が始まって3年半。8月の米露首脳会談で停戦協議の進展が期待されたが、その後も全土への激しいミサイル・ドローン攻撃が続き、和平の可能性は急速にしぼんでいる。戦争と平和に思いをはせる「戦後80年」の今夏、戦時下に生きるウクライナの人々を宇都宮市出身のジャーナリスト中坪央暁(なかつぼひろあき)氏が現地取材した。

ミサイル攻撃を受けて崩壊したキーウ市内の集合住宅=7月3日、中坪央暁撮影
異様な物音に気付いたのは真夜中のことだった。首都キーウ中心部のホテルの窓から外を見ると、複数の防空陣地から「ダダダダッ」と対空砲火が上がり、何かに命中したのか、線香花火のような白い輝きが夜空に次々現れては消えた。やがて「ドーン」という鈍い爆発音が響き、ミサイルが数発着弾したのが分かった。
7月3日夜から4日未明にかけて、ロシア軍はウクライナ全土にドローン539機、ミサイル11発による最大規模の攻撃を加え、キーウでは2人が死亡、二十数人が負傷した。各所で火災が発生し、翌朝ホテル最上階から見渡した美しい市街地には、独特の臭気をはらんだばい煙が漂っていた。
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