【宇都宮】がん治療に伴う外見変化に対処するアピアランスケアのボランティアを10年以上続けている今泉町の美容室「アトラス」のオーナー江連潤(えづれじゅん)さん(58)は、乳がんの早期発見や啓発を目的とする10月の「ピンクリボン月間」を前に、がん患者の脱毛に関する情報を冊子にまとめた。約500部作成し、希望者に無料で配布している。
江連さんがボランティアを始めたきっかけは約15年前。美容室の常連客から、「がん治療のためウィッグを作ってほしい」と依頼されたことだった。
医療用ウィッグを扱った経験がなかった江連さんは、その体験を機に2年間、業務の傍ら都内のNPO法人の学校に通い、医療用ウィッグを中心にアピアランスケアの知識を取得。2012年度から県立がんセンターで、がん患者に脱毛後の眉毛の書き方やウィッグの知識などを伝えてきた。
「患者さんと接する中で、どのような情報を必要としているのか、何に困っているのかを知った」と江連さん。誰にも相談できず困っている人も多いと考え、冊子を作成したという。
冊子のタイトルは「安心ヘアケアガイド 治療前後の髪と頭皮を育む」で、A5サイズ10ページ。脱毛について「治療終了後、いつごろに生えそろうのか」と不安を抱える人が多いことから、1年後まで数カ月ごとに髪の状態のイメージ写真を掲載。脱毛後はくせ毛になる可能性があることや、カラーリングのタイミングなどの情報も載せた。
医療用ウィッグについては人毛と人工毛、既製品とオーダー品など種類ごとに特徴をまとめ、選び方を提示。手入れの方法を写真で紹介した。
冊子は佐野市田沼図書館のがん情報コーナ-など県内複数の図書館などに置かれているほか、市貝町社会福祉協議会で脱毛に悩む人への支援ツールとして活用されている。江連さんは「冊子の情報を治療後の生活への希望や自信につなげてもらえたらうれしい」と期待した。
(問)同美容室028・660・2220。