官民連携で人口減少を乗り越えようと、県は県内の企業や団体に「とちぎ人口未来アクションプラン」の作成を呼びかけている。各企業・団体は主体となってできることを考え、行動に移したい。

 今年4~8月に開かれた「県人口未来会議」で、各分野の代表者が出生率向上と、県外への転出超過解消のために必要な対策を整理した。「魅力ある就労環境」「仕事と家庭の両立」「女性・若者に選ばれる地域づくり」など、民間主導で取り組めるものが多く含まれている。

 プランには、これらの対策に関連し各企業が実施する取り組みを挙げ、実績や効果などを盛り込んでもらう。例として育児休業中のキャリア支援、リモートワーク制度、独自の奨学金返還支援制度などが想定される。

 これらの情報は、人材確保にも役立つはずだ。県はプランを作成した企業・団体を「とちぎ人口未来パートナー」として位置付け、県の公式交流サイト(SNS)などで周知するとしている。就職や結婚、本県への移住を考えている若者らへ着実に届くよう、発信方法を工夫してほしい。

 プランは作るだけではなく、実行されなければ意味がない。その過程で生じた課題を行政が共有し、対応する必要もある。福田富一(ふくだとみかず)知事は、人口未来会議で「企業からの課題を受け付ける窓口を県が設けることも、今後の検討事項」と述べた。官民一体で推進するためにも、早期の実現が求められる。

 プランは随時受け付けており、来年2月から公表する。様式や記入例は、県公式ホームページからダウンロードできる。

 山梨県は企業・団体による「人口減少危機突破マニフェスト」を2年前から募集し、随時公表している。これまでに142件のマニフェストが寄せられた。作成支援のため、県職員が企業に出向く体制も整えている。本県も積極的に働きかけ、山梨県と同程度か上回る数の企業・団体の参加を期待したい。

 人口減少は言うまでもなく、労働者や消費者の減少を意味し、企業活動にも影響する。次世代が結婚や子育ての望みをかなえ、働き続けるために、何ができるか。それぞれの企業・団体が自らの問題と捉え、若者の声に耳を傾けることが、未来への希望の一歩になるだろう。