大量のデータを学習し、文章や画像を作る「生成人工知能(AI)」。会議の要約やメール文面の添削などをお願いすると、早ければ数秒で回答をくれる。作業の効率化につながる便利なツールだが、なかなか手を出せない人もいるのではないか。下野新聞社は「生成人工知能」に関するアンケートを実施し、利用状況や実際に使った手応えなどを聞いた。

 そもそも生成AIとは何か。「一言で分かりやすく説明して」と生成AIに頼むと、「膨大な知識を学習し、全く新しいものをゼロから創り出すAIのことです」と回答が返ってきた。

 アンケートは2025年7月31日~8月25日、下野新聞のLINE公式アカウント「とちぽ」で実施し、栃木県内外の10代以下~70代以上の男女923人から回答を得た。アンケートの結果、こうした生成AIを「使ったことがある」と答えた人は295人(32・0%)だった。3人に1人は触れた経験があるということになる。このうち、「職場で利用している」のは105人(35・6%)。回答者全体の11・4%にとどまった。

 利用経験のある人の割合を年代別で見ると、20代(62・5%)と10代(60・0%)では約6割に上った。30代(48・5%)、40代(41・8%)、50代(34・5%)と年代が上がるにつれて利用率は低くなった。

 職業別では公務員の68・2%が最も高く、会社員が50・5%、自営業が50・0%と続いた。ちなみに県庁は23年9月、庁内で対話型AI「チャットGPT」の本格運用を始め、文章作成や企画立案の参考にしている。

 利用したことがある生成AIのモデルを複数選択で聞くと、米オープンAIの「チャットGPT」が最多の210人(71・2%)。米グーグルの「Gemini(ジェミニ)」が99人(33・6%)、米マイクロソフトの「コパイロット」が68人(23・1%)という結果となった。

 使用経験がある人に活用頻度を聞くと、毎日使っているのは49人(16・6%)だった。最多は「週に数回」の90人(30・5%)で、「月に数回」が82人(27・8%)と続いた。一方で、合わせて3割弱の人が「ほとんど利用しない」「全く利用しない」と答え、継続した利用には至らなかった模様だ。

 主な利用目的(複数回答)は「情報検索や調査」が最多の74・6%だった。次いで文章作成・要約(38・0%)、アイデア出し(23・4%)、画像・イラスト生成(11・9%)などと続いた。有償で使っている人は1割未満で、無料で使っている人が大半だった。

 

 利用することで作業効率は上がったのだろうか。

 最も多い151人(51・2%)は「上昇した」と答えた。「大幅に上昇した」の36人(12・2%)と合わせると、6割超が一定の効果を感じていた。「変わらない」105人(35・6%)という受け止めも少なくはないが、「低下した」は3人(1・0%)とごく少数だった。

 便利さの一方で、新しい技術ゆえにリスクも指摘されている。全回答者に生成AIを巡る課題や懸念を複数回答で尋ねると、67・8%が「情報の正確性・信ぴょう性」を挙げた。

 生成AIは誤った情報をもっともらしく生成する可能性があり、虚偽の情報が誹謗(ひぼう)中傷やデマの火種になってしまう危険性をはらむ。使い方に注意して向き合っていくことが大切だ。