佐野市民病院が導入した「無痛MRI乳がん検診」(同病院提供)

 【佐野】乳がん検診の早期受診を啓発する「ピンクリボン月間」の10月、田沼町の佐野市民病院が、県内の医療機関で初めてという「ドゥイブス・サーチ無痛MRI乳がん検診」を導入した。乳房を強く圧迫してX線を使用するマンモグラフィー検査と異なり、磁気共鳴画像装置(MRI)の使用などにより、痛みや放射線被ばくが全くないのが特徴。11月からの本格実施を目指しており、同病院の村田宣夫(むらたのぶお)理事長は「乳がんの早期発見のために、より多くの女性が検診を受けやすい環境づくりに努めていきたい」と話している。

 国などの統計によると、国内では毎年約9万人の女性が乳がんと診断され、9人に1人がかかるとされる。30代から増加し女性のがんの中で最も多い。

 早期発見なら、ほぼ100%完治が期待できるため、定期的な検診が重要とされる一方、マンモグラフィー検査では乳房を挟み込む必要があり、強い痛みや抵抗感を覚える女性も少なくないという。

 今回、同病院が導入したMRIを使った痛みのない乳がん検診は、放射線科専門医・医学博士でMRI研究の第一人者高原太郎(たかはらたろう)氏が代表医師を務める「ドゥイブス・サーチ(社)」(東京)が開発した。

 この検診では、乳房の形にくりぬかれた専用ベッドにうつぶせの姿勢で横たわり、検査着を着たまま受けられる。痛みはなく、放射線被ばくの心配もない。

 日本人女性に多い「高濃度乳房」の場合、マンモグラフィーでは乳腺の重なりによって画像が白くなり、がんの発見が難しいが、MRIでは、その影響をほとんど受けないという。

 保険適用外のため、費用は全額自己負担(2万2千円)となる。

 村田理事長は「当院の予防医療センターで導入し、現在のエコー検査・マンモグラフィー検査に加えることで、人間ドックなどのメニューの選択肢を広げ、乳がん検診全体の受診率を高めて早期発見につなげていきたい」と話している。