後藤真希

 インタビューに答える後藤真希

 アルバム「COLLECTION」をリリースした後藤真希

 後藤真希

 後藤真希のアルバム「COLLECTION」

 後藤真希

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 1999年、「モーニング娘。」の新メンバーに選ばれた際の印象は鮮烈だった。当時13歳の後藤真希。アイドルらしからぬ金髪とクールな立ち居振る舞いに、グループのイメージは一変した。彼女の存在が国民的アイドルグループへと飛躍する原動力となった。3年余りのグループ活動を経てソロシンガーに。デビュー25周年を迎えた昨年11月に発売した写真集「flos」(講談社)は記録的な売り上げとなるなど、その人気は衰えない。25周年イヤーを締めくくる記念のアルバム「COLLECTION」を発売した彼女に話を聞いた。

 【ごとう・まき】1985年生まれ、東京都出身。99年「モーニング娘。」に加入。2001年に「愛のバカやろう」でソロデビュー。02年に「モーニング娘。」を卒業。ソロシンガーとしての活動に加え、ファッション誌、美容雑誌でも活躍。近年はゲーム実況と美容情報のYouTubeチャンネルで人気を博す。

(1)いい方向に転んだ

▼記者 昨年の写真集は記録的な売り上げだったそうですね。

◆後藤 電子書籍がすごい盛り上がって「楽天kobo 電子書籍 Award 2025」を受賞。いや、本当にびっくりしました。そんなにたくさんの方が“ポチって”くれたんだって。X(旧ツイッター)でも話題になってファン以外にも届いたみたいで、Xは影響が大きいんだなぁって感じました。

▼記者 皆さん、後藤さんの変わらない姿に驚いたのではないでしょうか。

◆後藤 自分で出してみようと思った作品でもあったので、本当に良かった。普段は、写真集を出しませんかってお声がけいただいて、じゃあやってみますか、みたいな感覚で撮影することが多いので、いい方に“転んで”くれてうれしい。

▼記者 自分から写真集を出そうと思ったのは25周年だからですか?

◆後藤 25周年もそうだし、「表情管理」的なものも昔よりいろいろ柔らかくなって、今ならいいものが撮れるかもねっていう感じ。

▼記者 表情は意識して変えてきたんですか。

◆後藤 数年前から写真でも笑うようにしてました。最初の方は意識してやってたんですけど、徐々に意識しなくても普通にできるようになりました。

▼記者 元々、クールな表情が印象的な後藤さんですが、何かきっかけはあったんですか?

◆後藤 LAにレッスンをしに行ってた時期があって、その時のコーディネーターの方が私のインスタグラムを見てたまに連絡をくれるんですけど、「真希、もっと笑って」って言われたんです。「え?」と思って見返してみたんですよ。そしたら確かに笑ってないかも…て。そこからでしたね。

▼記者 ちなみに「表情管理」という言葉は昔から使っていました?

◆後藤 最近じゃないですか? アイドルがわんさか盛り上がるようになってから(笑)

(2)“ハロプロみ”を出した新曲

▼記者 さて、そんな25周年イヤーの締めくくりはアルバム「COLLECTION」です。どんなコンセプトでしょうか?

◆後藤 25周年のベストっぽいような、「ハロー!プロジェクト」時代の楽曲のカバーを3曲入れてみたり、少し前にリリースさせていただいた(「Da-iCE」の)花村想太さんと作った「チェケラ」も入っていたり。それだけじゃなく、今、私がやりたい曲も新たに詰め込んで、パッと見ると“とっちらかった”曲たちなんです。だけど、それも含めて、お宝を集めてみました、みたいな雰囲気です。

▼記者 25年を詰め込んだから本当にカラフルですね。花村さんとの新曲もそうです。

◆後藤 花村さんからは、少し“ハロプロみ(ハロー!プロジェクトっぽさ)”を出してほしいという要望があって。なので歌い方もハロプロな雰囲気を思い出しつつやってみました(笑)。MV(ミュージックビデオ)もカラフルな世界観で、爽やかで明るくて楽しいんですけど、私のMVってなかなかあそこまで元気に笑ってる姿ってないんですよ。弾けたイメージで、曲もチアっぽい雰囲気があって弾むような感じの楽曲になっているので、そういうのを意識しながら作ってくれた花村さんはすごいなって思います。

▼記者 “ハロプみ”というのはよく分かります。底抜けの明るさがありました。

◆後藤 私の最近やってる楽曲が、カッコいい系かかわいい系かでいうと、カッコいい系になっているので、花村さんが今回はかわいらしさを詰め込みたい、って。

▼記者 9月リリースの2曲も収録しました。「Which?」と「What?」の2曲が自分のやりたいことに近いというわけですね。

◆後藤 そうです。どちらもテイストが一気に変わる。この2曲だけでも雰囲気が全然違うんです。(ボカロPの)Gigaさんの手がけた「Which?」の方は、本当にGiga色が強い。めちゃめちゃ速いテンポで、どんどんシーンが変わっていくみたいな楽曲で、私のコアなファンからしてみたら「なんだこれ!」みたいな衝撃が走るのかな。Gigaさんらしさも出しつつ、1曲の中でシーンが何個も変わるような雰囲気を作ってほしいとか、そういう私の要望もきれいにまとめてくれました。「What?」の方もまた斬新な曲。イントロから始まるつかみ方もすごく上手に仕上がりました。

▼記者 EDM(エレクトリック・ダンス・ミュージック)っぽい感じがぴったりで、かっこよかったです。こちらの2曲は、クールな表情の方が似合いそうですけど。

◆後藤 もともとそっち系の曲が好きなんですよ。私の憧れは10代の頃からブリトニー・スピアーズとかで、アルバムを聞いたり、ライブを見たりしてきました。新しい曲を作ると、自分がどうしてもやりたい方向性というのが分かりやすく出てきますね。

(3)入ってみたら「おやおやおや?」

▼記者 モーニング娘。時代の3曲もカバーしました。2002年の「そうだ!We’re ALIVE」はゴリゴリのファンクから、ちょっとふざけてるような部分、ちゃんと聴かせる部分がくるくると入れ替わって、これも1曲の中にどんだけ詰め込むのって曲です。

◆後藤 そう。そうなんですよ。

▼記者 あらためて歌ってみていかがでしたか?

◆後藤 1人の声でやるからこそ、いろんな表情が見えてくる。モーニング娘。全員で歌っていたら、声も違うし、見せ方も違うし、当たり前に違う色が出てくると思うんですけど、1人で歌ってもいろんな表情が出せるっていうところにびっくりしました。あらためてかっこいい曲だなって思いました。

▼記者 この曲を象徴する「努力 未来 A beautiful star」というフレーズは、米津玄師さんが2022年リリースの自身のヒット曲「Kick Back」に引用していました。あのフレーズが今も残ってることにも驚きました。

◆後藤 でも「そうだ!We’re ALIVE」って、モーニング娘。のシングル曲を比べたら目立ってない。やっぱり「LOVEマシーン」とか「ハッピーサマーウェディング」「恋のダンスサイト」とか、「恋愛レボリューション21」「ザ☆ピ~ス!」あたりがぐわーっとヒットしてた。「そうだ!We’re ALIVE」は他の曲に比べたら、売れたわけではないと私は思ってるんです。この曲だったらイメージがそんなに強くなくて、私が違う色で出してみても面白いかなって。

▼記者 もう一つのカバー曲「Memory 青春の光」は後藤さんが加入する前の曲ですよね。

◆後藤 私が入る前のモーニング娘。はこういうイメージでした。私が入ってから一気に変わっちゃったんですけど(笑)。

▼記者 確かにお姉さんっぽい曲のイメージでした。

◆後藤 そういう曲のイメージでオーディションを受けたので、私の想像するモーニング娘。はこうだった、みたいな感じです。いい曲だなぁって昔から思っていて、ファンの中でも隠れ名曲って言われていました。私の声で聞いたことがない曲だから、歌ってみてもいいかなと。

▼記者 オーディションを受けた頃はどんな人に憧れていたんですか?

◆後藤 「SPEED」さんや「MAX」さんとか、歌って踊れるかっこいいアーティストに憧れてました。

▼記者 そんな後藤さんが加入して最初の曲が「LOVEマシーン」でした。おや?って思ったんじゃないですか?

◆後藤 ありました(笑)。おや?おやおや?っていうのが続いてました。「LOVEマシーン」もそうですし、その後、プッチモニで出した「ちょこっとLOVE」も、え?っていう感じ。衣装もどんどんどんどん私が入る前と違う路線になっていって。あれ、私は一体…合ってる?って。だけど、あの経験をしたからこそ、アーティストの面とアイドルの面を両方持つことができているし、アイドルの見せ方も大事だと思うようになりました。

(4)美容アイテム作ってみたい

▼記者 モーニング娘。としてデビューしてから25年です。感慨深いですか?

◆後藤 モーニング娘。にいたのはたったの3年ですからね。短っ!て思います。

▼記者 結局、どんなグループだったんでしょうか。

◆後藤 バラエティーもやれるし、ライブもパフォーマンスを頑張ってお客さんも盛り上がっていました。コントもやってたし、音楽番組とか、自分たちをもっと知ってもらうための番組とか結構いろいろ…。忙しかったなぁ。個性が強いメンバーが多くて、グループなのにあそこまでそれぞれの個性が生きているって、今どきのアイドルグループを見てもなかなかないと思うんですよ。

▼記者 当時はアイドルカルチャーに勢いがなく、目指すべき像も見つかりにくかったんじゃないでしょうか。

◆後藤 私は別に誰になりたいとか、そういうのもなく入ったので、とにかく歌って踊れる歌手になりたいと思って、そのきっかけとしてモーニング娘。のオーディションがあったみたいな感じでしたね。

▼記者 そういう意味では、歌って踊るという本当にやりたかったことをずっと続けることができたわけですよね。しかも今もYouTubeで、ゲームと美容という自分の好きなテーマについて発信しています。

◆後藤 YouTubeを始めてよりしゃべれるようになったし、身になることはちゃんと身になって良かったなと思う。

▼記者 25年を振り返ってみて、やれることは全部やりきったのではないでしょうか。

◆後藤 歌ってる時の私はどうあるべきなのかとか、まだまだ悩むことはあります。

▼記者 今後どんな活動をしていきたいですか?

◆後藤 私ももう40歳になったんですけど、結構しんどいんですよ(笑)。歌うのも踊るのも、体力が全然変わってくるので、体が悲鳴を上げてきてる。でも歌ってるところを応援してくれる方々も変わらずいるので、その方々には、ちゃんと自分が歌ってる姿を届けていきたい。後は好きなものを追求する。例えば美容が好きで、商品を試させてもらうこともあるんですけど、自分でも商品を作れたらいいなって思います。ここ数年、肌を褒めてもらうことが多くて、写真集を出してからもそうですし、褒めてもらうのがやっぱうれしい。みんなにもそうなってほしいみたいなおせっかいな気持ちもあるので、これを使ったらこうなるっていうアイテムが作れたらいいなって思ってます。(取材・文 共同通信=森原龍介 写真 澤田勝)