都内最古の寺院とされる浅草寺の周辺(台東区)は、東京観光の人気スポットだ。インバウンド(訪日客)の視点を取り入れて、街を歩き、魅力を再発見した。
東京メトロ銀座線浅草駅から雷門を目指す。1960年に再建された現在の門は、パナソニックホールディングス創業者の松下幸之助氏が寄進。門の両側に立つ風神雷神の気迫あふれる姿にしばし見入った。
仲見世商店街に入る。雷門から宝蔵門までの長さ約250メートルに87店がひしめく。和雑貨の「岩座 浅草仲見世店」では、参拝に向かう外国人観光客が御朱印帳を吟味していた。店長の丹下めぐみさんによると、外国人客が8割を占めるといい「御朱印を頂く文化を理解し、来てくれますね」。一カ月で千冊以上が売れるときも。店員と客がお互いに片言の英語で話し、気持ちが通じ合う様子に何とも心が和んだ。
次に訪れたのは、抹茶スイーツ店「雷一茶 仲見世通り店」。世界的な抹茶ブームを追い風に外国人客が増加した。特に中国系の観光客が高級な抹茶の粉を買うそうだ。
宝蔵門をくぐり、浅草寺本堂の前に着いた。香炉に線香を上げ、煙を浴びて無病息災を祈ることも外国人観光客にとっては新鮮な体験らしい。熱心に写真撮影していた。
参拝を終え、仲見世を通り、雷門へ戻る途中で路地を右へ。黄色いビルから響く演歌に興味が湧き、CDショップ「音のヨーロー堂」を訪ねた。
12年創業で、2階には演歌専門のステージと客席がある。床は赤色と白色の市松模様だ。店主松永好司さんは「NHK紅白歌合戦への道を表現しました」と話す。
この日は和歌山県出身の演歌歌手山西アカリさんが新曲「瑞穂の国」などを約20人を前に熱唱。発売祝いにと男性ファンがお手製のくす玉を持参すると、山西さんが大喜びで割った。浅草に集う人々の情味を感じた。
【メモ】「雷一茶 仲見世通り店」の「お濃茶雷おこし」は老舗おこし店と共同開発した商品で、修学旅行生に人気だ。