第14回で書きましたように、2021年に「日本おいしい小説大賞」(小学館主催)を受賞したときはコロナ禍のまっただ中で、授賞式はありませんでした。
よって、実現していたら参加されたであろう、他社の編集者さんたちと名刺交換ができなかったので、デビュー後の2冊目、3冊目につながっていく手がかりを得ることができませんでした。
しかし幸いなことに、デビュー作を読んでくださった祥伝社の編集者さんから声をかけていただいて「ナカスイ!」につながり、「ナカスイ!」を読んでくださったJTBパブリッシングの編集者さんから、2024年夏に新作のお声がけをいただきました。
どのような内容かというと、2025年秋にジュニアノベルの新レーベルを立ち上げる予定で、「大人が全力で子どもに球を投げる」スタイルの、子どもに向けているけれど親も楽しめる、児童書と一般書を結ぶ内容を求めているとか。
そして、その第一弾(かもしれない)ラインナップに、私の新作を入れていただけるとのこと。
もちろん「お受けいたします」と即答したものの、私には2つの心配ごとがありました。
その1 まったくの新作を書くというのは実に3年ぶり。できるだろうか
その2 私は子どものころから大人に至るまで「児童書」を読んだことがない
その1はなんとか頑張るとして、問題はその2。
子どものころ、私はどんな本を読んでいたのだろう。
小学校低学年のころ、母は担任の先生から「休み時間に娘さんの姿を探すと、ひとり自分の席で本を読んでいるんです」と言われたそうな。
ということは本好きだったと思うのですが、実は私は漫画命でした。
親に絵本を読んでもらったり、自ら読んだ記憶はなく、ひたすら漫画ばかり。
小学校低学年の愛読書は「ドラえもん」で、私は漢字の読み方をドラえもんに教えてもらったようなものです(その版元である小学館からデビューできたことに、ちょっと運命めいたものを感じておりました)。
そんなわけで、学校で本を読んでいたと言われても、何を読んでいたのか記憶にないのです。学校で漫画を読んでいたら先生に没収されてしまう時代だったし、文字だけの本を読んでいたはず。何を読んでいたのだろうか。
小説を読むようになったのは、小学校5年生でとあるSFアニメにハマったのがキッカケです。対象年齢は10代後半からと思われた原作小説も大変面白く、そこからいろんなジャンルの本を読むようになったのでした。
ジュニア向けというからには、小学5年生以下も対象のはず。
私の読書記録ブラックホール時代……。
とりあえず児童書モードになろうと、1か月くらい図書館や書店の児童書コーナーをひたすらさすらい、むさぼるように読んでみました。
そして分かったことは「何でもありなんだなあ」。
編集者さんからのご依頼としては、「暴力的なものや性的なものでなければ、自由にどうぞ」。
私は自由研究よりは課題があった方がやりやすいタイプ。「日本おいしい小説大賞」は「おいしい食べ物」がテーマだったので書きやすかったのです。
頭を抱えていたら、編集者さんが「一つリクエストです。ヒロインは、トマト農家の娘にしてください」。
それなら書けるかも!なんせ私はトマト農家の妻。ほとんど手伝ってないとはいえ。
次回に続く。

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