舞台「カタブイ、2025」の稽古。沖縄の日常が描かれる

 舞台「カタブイ、2025」の稽古。琉球舞踊を披露する場面も

 内藤裕子

 舞台「カタブイ、2025」の稽古。沖縄の日常が描かれる  舞台「カタブイ、2025」の稽古。琉球舞踊を披露する場面も  内藤裕子

 沖縄の米軍基地問題をテーマにした舞台「カタブイ、2025」が、11、12月に沖縄と東京で上演される。脚本・演出の内藤裕子は「魅力的な文化と基地問題が分かち難く絡み合った、沖縄の今を映し出す作品になった」と手応えを語る。

 沖縄本島で代々サトウキビ農家を営む一家と、一家を取り巻く人々を半世紀にわたって描く3部作の最終章。前2作の脚本も手がけた内藤は「自分も一家と共に50年を過ごしたような気分」と愛着をにじませる。

 自身は埼玉県出身で、基地問題については「ニュースで知る程度だった」。制作に当たり、地元の人に取材を重ね「沖縄の中にも『基地反対』だけではない、いろいろな意見があることが分かってきた」と語る。

 今作にも「反対なんて意味がない」と話す軍用地主や、「普通の生活を守るため」任務に当たる自衛官が登場する。賛成と反対に分かれて相手を「打ち負かす」のではなく「幅広い立場の人が率直に話し合うきっかけになれば」と願う。

 2022年の第1部制作時から、取材や稽古で何度も現地に滞在。「いつ来てもご飯とお酒がおいしい」。土地の魅力を伝えるため、劇中には琉球舞踊などの伝統文化もふんだんに盛り込んだ。「まずは難しいことを考えず、沖縄文化を味わいに劇場に来てください」

【舞台「カタブイ、2025」は11月2~8日に沖縄・ひめゆりピースホール、11月28日~12月7日に東京・紀伊国屋ホールで上演】