「メタボ健診」とも呼ばれる特定健診の本県の実施率が2023年度、初めて60%を超えた。ただ県が目標とする「70%以上」とは開きがあり、自営業者や無職の人らが加入する市町国民健康保険(国保)は38・1%で40%に届いていない。
国保は、会社員や公務員が加入する組合に比べ実施率が低い状況だ。実施率向上に向け、自治体はさまざまな場面で特定健診の重要性を伝え、受診勧奨の働きかけを一層強めたい。県もこれまで以上に市町への支援に力を入れるべきだ。
特定健診は40~74歳が対象で08年度に始まった。本県の同年度の実施率は、全国平均の38・9%を下回る33・6%だった。だが、健診の浸透や取り組みの強化に伴い増加傾向となった。22年度に初めて全国を上回り、23年度も全国平均59・9%を上回る60・8%となった。
ただ保険者の種類別ではばらつきがある。22年度の実施率は、健保組合・共済等82・4%、中小企業の従業員らが加入する全国健康保険協会(協会けんぽ)60・8%で、国保37・2%だった。
国保では、市町が広報誌やホームページで周知するなどして受診勧奨に取り組んでおり、県もインターネット広告などで広報している。こうした取り組みを強める一方、被保険者側も特定健診の意義を理解し受診してほしい。
協会けんぽ栃木支部では、被保険者(従業員)に比べ被扶養者(家族)が低いのが現状だ。23年度は被保険者が72・2%で被扶養者は30・7%だった。健診への補助などメリットを周知し、受診者増につなげたい。事業者側も従業員の健康管理をより強く意識することが求められよう。
一方、生活習慣病の発症リスクが高い人に専門家が予防指導する特定保健指導の実施率は、23年度が31・6%で過去最高を更新した。制度開始以降、本県は全国平均を上回って推移し2年連続で3割台に乗せた。だが県が目標とする45%には及んでいない。対象者は指導を受け、発症の未然防止に努める必要がある。
同支部の調査では、本県は生活習慣病リスク保有者の割合が男女とも全国平均に比べ全般的に高い傾向にある。特定健診の受診を拡大させるとともに、特定保健指導の実施率も向上させ、官民一体で「健康県」を目指したい。
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