からせん応援隊として清掃活動する市職員

 【那須烏山】乗客数の減少が進むJR烏山線を巡り市は、官民一体で存続に取り組む「マイレール運動」の推進に向けて動き出した。市の施策による「利用促進」と、官民での沿線環境美化活動などを通じた同線への「市民愛醸成」の2本柱を重視する。市は同線を「市民生活の形成には欠かせない交通機関」と捉えており、同線の必要性を市民に浸透させることで乗客数減少に歯止めをかけたい考えだ。

 JR東日本によると、1キロ当たりの1日平均乗客数(輸送密度)で同線は2024年度、前年度比31人減の1113人だった。市は輸送密度千人未満を路線存続やバスへの転換といった見直しの基準と示し、現状について「気を緩めれば一気に基準を下回る可能性もある。何とかしなければいけない」と危機感を募らせる。

 市は現在、同線定期券を購入する学生や市民3人以上で利用したグループに補助を行っているが、来年度はより使い勝手の良い補助制度に改め、積極的な利用を促すことで同線の必要性に気付いてもらおうと検討を進める。また毎月15日を「からせんの日」と定め、市職員に通勤やプライベートでの乗車を呼びかけているが、対象を市民にも広げる。

 市民愛醸成について市は「烏山線に関心を持ってもらうことが利用促進の前提になる」と位置付ける。定期的に駅舎などを清掃する「市職員からせん応援隊」の枠組みに、市民や市内団体の参入を構想する。高齢者の集いの場で、同線の乗り方や市の補助制度を説明する出前講座の開催も視野に入れる。

 市まちづくり課の大鐘智夫(おおがねのりお)課長は「行政からマイレール運動を広めていき、徐々に市民全体にも広げていきたい」と意気込む。