五輪景気に沸く1960年代の東京を舞台に、偏見に立ち向かうトランスジェンダーたちを描く映画「ブルーボーイ事件」(11月14日全国公開)。出演したドラァグクイーンのイズミ・セクシーは時折、豪快な笑い声を響かせつつ「私たち(性的少数者)が笑っていられるのは、(かつて)こういう方々がいてくれたから」と思い入れを語る。
60年代に性別適合手術を行っていた医師が、当時の優生保護法違反で起訴された事実に基づく物語。医師の手術を受けた主人公サチ(中川未悠)は、手術の正当性を証明したい弁護士の狩野(錦戸亮)から、証人としての出廷を依頼される。
イズミは同じく手術を受けたアー子を演じ、証言台で「女として普通に生きたいだけ」と涙ぐむ場面はヤマ場の一つに。「現場が暑くてメークの崩れが気になっちゃった」と笑わせながらも、性的少数者に偏見を持つ役を担った共演陣に演技を引き出されたと話す。「視線が刺さってきた。本当に独りぼっちの気持ちでした」
飯塚花笑監督に「自分の中から役の感情を出す」よう求められた。自身は物心がついた時からゲイだと自覚したが、隠すべきことだと感じていた。思春期に味わった「周りに受け入れてもらえない孤独感」が、感情移入につながった。
映画初出演と思えない存在感は、クラブなどでの活動経験があったから。楽曲にリップシンクする(口の動きを合わせる)ショーをしており「人前で何かやることに恥じらいがないんです」。今後への影響を聞くと「調子に乗りやすいので、あらゆる人に『女優面したら叱ってね』って言っている。まめまめしく生きたいと思います」と笑った。
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