白血病患者らに骨髄液などを提供する本県の骨髄ドナー(提供者)登録者が近年減少傾向を続けている。2024年度末時点で前年同期比310人減の1万6953人となり、ピークだった18年度末の1万9460人から6年連続の減少となった。

 国内では毎年約1万人が白血病などの重い血液の病気と診断され、約2千人が骨髄バンクドナーからの移植を望む。しかし患者とドナーの白血球の型の適合率は数百から数万分の一といい、多くのドナー登録が必要とされている。

 登録期間が長くなる若年層の減少が課題だろう。県や市町は高校や大学での啓発に注力すべきだ。骨髄液などの提供に必要な日数を特別休暇として認めるドナー休暇制度を企業側も積極導入するなど、官民一体の支援に努めたい。

 ドナー登録できるのは、患者への移植後の成績など医学的な見地から18歳以上54歳以下となっている。24年度の県内の新規登録者が424人に対し、55歳の年齢制限などに伴う取り消し者は734人に上った。19年度以降、毎年200~500人台のペースで減少している。

 登録者減の要因について県は、新型コロナ禍などによる啓発活動の縮小に加え、若年層の登録が年々減っている点を挙げる。登録者全体に占める10~20代の割合は、20年度末の18・9%から24年度末は11・4%に下がった。

 若者の登録増に向け県は、大学の学園祭へ職員が出向き啓発活動に取り組んでいる。今年10月に県衛生福祉大学校で実施した説明に20人が耳を傾け、3人がドナー登録した。今月22日の宇都宮大の学園祭でも同様の呼び掛けを行う予定だ。地道な活動を他大学などにも拡大する一方、市町と協力し高校などでも制度を周知し理解の輪を広げたい。

 県と全25市町は骨髄バンク助成事業を導入しており、骨髄などを提供する本人と事業所に休業補償などを名目とした補助金を支給している。24年度は当事者24人、事業所5カ所に助成した。こうした事業をよりPRする努力も行政側には欠かせない。

 企業側の協力も求められよう。骨髄などの提供には検査や入院で数日間が必要という。日本骨髄バンクによると、今年10月末時点で県内七つの事業所がドナー休暇制度を設けた。従業員の善意が救命につながる意識を高めたい。