1988年の発足以来、女性の地位向上や男女共同参画社会の実現に貢献してきた県女性団体連絡協議会(女連協)が、本年度の活動をもって解散する。所属団体の減少や役員の高齢化に伴い、継続は困難と判断したという。

 しかしジェンダー平等を巡る課題は今も山積みだ。県内では2023年、日光市で開催されたG7男女共同参画・女性活躍担当相会合を機に、課題解決を目指す団体の活動が活発化している。個々の団体が連携して取り組めるよう、次世代の新たなネットワーク作りを進めたい。

 県女連協は県内各地の女性団体をとりまとめ、県民を啓発し、女性の声を行政に届ける役割も担ってきた。県議会や市町議会の女性議員も輩出してきた。中でも県が宇都宮市内に開設したとちぎ男女共同参画センター(旧とちぎ女性センター)「パルティ」創設の原動力となった功績は大きい。

 一方、加入団体は38年間で当初の32団体から10団体に減少した。地域で活動する婦人会などが中心となっていたが、女性の就業率の上昇に伴い参加者も減った。

 代わりに新たな課題が浮上した。昇進や賃金における男女格差や仕事と家事育児の両立、性的嫌がらせなどである。DV防止法や性暴力の厳罰化、困難女性支援法などの法整備も進んできたが、性被害はなくならない。若年女性が地方から首都圏へ流出する背景に、性別役割分担意識の強さがあるとも指摘される。

 こうした中、新たなグループも誕生している。15日にパルティで開かれた座談会では妊娠、子育て、健康、性の問題などに取り組むNPO法人、市民団体、学生団体の代表者らが登壇し、ネットワーク化の必要性を訴えた。

 身近な課題を共有し解決していこうと、15年に発足した「とちぎ女性会議実行委員会」は多分野で活躍する女性が参加している。新たな連携のモデルとしたい。

 ジェンダーは政治、経済、教育など幅広い分野に関係する。価値観も多様化している。一方で自主団体の活動は人手や資金面で課題を抱えている。連携組織があれば、各団体の活動も広がり、県全域に効果を及ぼす。女連協が築いた礎を守るため、県やとちぎ男女共同参画財団はパルティを拠点に次世代のネットワーク化を後方支援するべきだ。