栃木県北部を走るJR烏山線で10月、自転車を分解や折り畳みをせずに車内へ持ち込める「サイクルトレイン」が本格的に始まった。JR東日本大宮支社管内では初の試みとなる。サイクルツーリズムを促すため、シェアリングサービス「LUUP」の電動アシスト自転車の貸し出しや、拡張現実(AR)技術を使った観光案内コンテンツも同時にスタートした。赤字運行が続く烏山線の利便性や周遊性向上に向けて、沿線自治体の期待を集める一連の取り組み。その魅力を体感しようと、記者が自転車とともに列車に乗り込んだ。
■利用方法と注意点
サイクルトレインの実施区間は宝積寺-烏山駅間(20・4km)。利用には、前日までにJRのサイト「JRE MALLチケット」から予約が必要だ。1列車当たり5台までで、運賃の追加料金は発生しない。平日は通勤通学ラッシュ時を除く上下線各3本、休日は全列車が対象となる。ただ、ホームに段差がある下野花岡駅と鴻野山駅では自転車を伴う乗降車はできない。
紅葉真っ盛りの11月中旬の平日午前。記者は宝積寺駅西口駅前広場に12台設置されたLUUPの電動アシスト自転車(1時間300円)を利用してみた。
専用アプリでQRコードを読み取りスタート。烏山線は「Suica(スイカ)」未対応のため、券売機で切符を買う。自転車を手押しして改札を通過し、ホームへ向かった。
乗車時はいくつか注意点がある。まず乗車位置は、2両編成のうち後方車両のみ。ワンマン運転のため、一般客の降車や精算を優先する配慮からだ。また、予約ページでダウンロードできる「利用証」を事前に印刷し、自転車のかごなどに掲示する必要もある。
列車内で自転車の置き場は特に決まっていない。座席の前に置いてもいいし、空きスペースに止めることも可能だ。ただ、乗車中に列車が大きく揺れることがあり、JR東日本大宮支社の担当者は「自転車が転倒しないよう、しっかり持って支えてほしい」と呼びかける。ゴムひもなどで車内の手すりに固定することも推奨している。
色づく山々を車窓から眺めながら、心地よく揺られること約30分。終点の烏山駅に到着した。他の乗客の精算を待ち、最後に乗務員に切符を渡し、予約画面も見せて降車した。
■ARで観光案内
今回のサイクルトレインに併せて始まったARコンテンツも、烏山駅周辺で試してみた。
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