◎今週の一推しイベント
【29日(土)】
▽「企画展 デザインの先生」(~26年3月8日、港区・21_21 DESIGN SIGHTギャラリー1&2)
イタリア、ドイツを中心としたデザインの巨匠6人の作品と、彼らの言葉や映像に焦点を当て、「デザインとは何か」を学ぶ展覧会が、六本木で開催されている。情報過多な現代社会で、デザインの本質を問い直すことを目的とした内容だ。
イタリアのブルーノ・ムナーリさんのペン立てなどのステーショナリーや色彩豊かな絵本。アキッレ・カスティリオーニさんの代表作の一つ、照明「アルコ」。彼らの名を知らなくても、誰もが一度は目にしたことがある作品が並ぶ。
ブラウン社(ドイツ)のデザイン責任者として多くの製品を世に送り出してきたディーター・ラムスさんによる機能的でシンプルなアラーム時計やオーディオ機器、iPhoneの標準計算機アプリのデザインに影響を与えた「ET66計算機」も展示。
ディレクターを務めたデザインジャーナリスト川上典李子さんは、生活に溶け込み、生きることと切り離せないのがデザインだという。「展示した机や椅子、磁器などのプロダクトは資本主義の産物ではなく、人間の創造行為の表れだ」。巨匠たちの膨大なプロジェクトの一部を紹介しているが「6氏を知る“入り口”として参照し、人とデザインの関係を深掘りする機会にしてほしい」と話す。
ラムスさんと親交があるプロダクトデザイナーの深澤直人さんも企画に参加。「世界中の多くのデザイナーが彼らから大きな影響を受けている。自分自身もその一人で、“社会や環境をデザインする力”を教わった」と話す。
「ドイツやイタリアは敗戦後にデザインで新しい時代を切り開いた。日本でもその視点を持って、社会をつくる時がきていると思う。世界中が揺れている今の時代だからこそ、デザインの力で真の“人間性”を取り戻したい」
○そのほかのお薦めイベント
【29日(土)】
▽「フジタからはじまる猫の絵画史 藤田嗣治と洋画家たちの猫」(~12月7日、府中市)
フランスで活躍した画家・藤田嗣治と、後の日本人画家による多様な猫の絵画を紹介するユニークな展覧会が、府中市美術館で開かれている。
パリの画壇で裸婦像と並び、猫の絵で高い評価を得た藤田。アトリエで仕事をしている自分の肩に乗ろうとする猫を描いた銅版画「自画像」(1927年)は、ルーブル美術館の依頼で制作した。猫への愛情と、自身のサインとしての動物であったことが伝わる貴重な作品だ。
4番目の妻マドレーヌをモデルにした30年代の裸婦像の数々にも猫を生かした。透明感のある白い下地に日本画の面相筆で描かれた墨の輪郭線に、西洋画にはない独特の質感が表れている。
注目は「猫の教室」。学校の教壇に立つ猫、真面目な顔で授業を受けたり、黒板を見つめたり、居眠りしたりする猫など、それぞれの表情やしぐさを緻密に描いた。学芸員の音ゆみ子さんは「人間にも通じる“個”を豊かに表現した。画家のユーモアに富んだ人柄と、自由な精神に間近に触れられる大作だ」と話す。
藤田以降の猫の絵に大きな変革をもたらした画家の一人、猪熊弦一郎の作品も。猫のかわいらしさを抽象化し、モダンで斬新な作風を確立した。赤のインクで描いた「題名不明」の作品は、デザイン性の中に動物に対する独自の思いが伝わる。
「さまざまな猫の姿態や表情を通して、日本人による洋画表現の変遷や奥行きを感じてほしい」と音さんは話した。
▽「カフェ キツネ 2025年冬限定メニュー」(~26年1月中旬頃、港区)
ライフスタイルブランド「メゾン キツネ」が青山で展開するカフェで、クリスマスシーズンを感じるスイーツやドリンクなど冬限定メニューが提供されている。
香港、パリなど世界の都市にも店舗があり、上質なメニューやコーヒーで知られる。今冬は、定番の“キツネ型”ケーキをアレンジした「ケーキキツネ アップルハニー」を提供。紅玉りんごのジュレと青森産りんごの蜂蜜を使ったムースを重ねた。
赤い帽子やマフラー、靴下を着けたキツネをかたどったサブレは、クリスマスにぴったりなスイーツ。ヘーゼルナッツシロップとキャラメルシロップを加えたエスプレッソも用意している。
渋谷、京都新風館、大阪、福岡各店でもそれぞれ限定メニューを提供。
▽「シンジュクネオンウォーク」(~26年1月7日、新宿区)
東京都庁周辺の西新宿エリアを華やかなイルミネーションで彩るイベントが始まった。
街路樹にカラフルな光を点灯し、最先端技術を活用したアート作品の数々を設置。見る角度によって光の色や表情が違って見えるアートや、年末年始に向けた“縁起の良い言葉”をネオンにしたフォトスポットも。
大みそかにはカウントダウンイベントを開催。アーティスト蜷川実花さんらによるプロジェクションマッピングや、初音ミクのイマーシブライブを予定している。
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