人気ピアニスト角野隼斗が、Kアリーナ横浜で単独公演を開催した。音楽と映像を融合させたステージに、満席の会場は静かな熱気に包まれた。
チケット販売は1万8546枚に上り「屋内のソロピアノリサイタルで販売されたチケットの最多枚数」のギネス世界記録に認定。角野は「皆さんと一緒に達成した記録」と観客に感謝を伝え、顔をほころばせた。
グランドピアノと、弦にねじなどを挟んで太鼓や鐘のような音が出るように細工したプリペアドピアノが置かれたステージに、ちょうネクタイ姿の角野が登場。公演はバッハの演奏で幕を開けた。音に呼応する映像をスクリーンに映し出し、照明も変化、会場を壮大な音響空間に仕立てた。
神秘的なジョン・ケージの楽曲やジャズ風のカプースチン、静寂を深めるペルト、趣豊かな自作―。2台のピアノを弾き分ける研ぎ澄まされた演奏に、観客が聴き入る。角野が編曲し、プリペアドの音色を効果的に使ったサンサーンス「死の舞踏」は息をのむほど鮮烈だった。
終盤、ギネス認定をはにかみながら観客に伝えた角野。認定員から認定証を手渡されると、笑顔で客席を見渡し「一番うれしいのは、たくさんの人に音楽を届け、分かち合えること。僕は変わらずピアノの前にいます。いつでも好きな時に(僕の音楽に)戻ってきてください」と呼びかけた。
角野さんの公演は11月29日に行われた。
× ×
「クレッシェンド!」は、若手実力派ピアニストが次々と登場して活気づく日本のクラシック音楽界を中心に、ピアノの魅力を伝える共同通信の特集企画です。
ポストする








