10月3日のリニューアルオープンから2カ月たった宇都宮市の「コジマ子どもサイエンスパーク」(県子ども総合科学館)が多くの来場者を迎えるなど好調だ。理数系科目に苦手意識を持つ児童生徒は少なくない。最新技術による体験型展示を生かした新企画などを展開し、引き続き子どもたちの創造力を育む学びの場になってほしい。
1988年に開館し、ここ数年は年間来場者50~55万人で推移する人気施設だった。しかし施設の老朽化と展示内容更新の必要性などから、総事業費約33億円をかけて初の大規模改修を実施した。
「宇宙」「生命」など七つのゾーンに再編し、それぞれ人工知能(AI)や拡張現実(AR)などを活用した体験型展示を設置。プラネタリウムも全国トップクラスの映像と再現力を誇る最新機種を導入した。リニューアルオープン後は今月1日までに計約24万人が来場。1日の来場者が最多だった10月19日は1万3285人が訪れるなど、県民の期待の高さがうかがえる。
所管する県県民協働推進課青少年応援室の吉成和直(よしなりかずなお)室長(54)は「かつて来場した世代が『子どもに見せたい』と思うだけでなく、『内容がどう変わったのか見たい』と感じているのではないか」と推測。最新技術の導入と大人も魅了する展示の数々に手応えを感じた様子だ。
一新した展示に目が行きがちだが、県内の高校生以下を対象に90年から実施する科学技術コンクール「ロボット・チャレンジ」にも注目したい。事前周知もあって近年は中学生の出場が多く、今年は122チーム146人が参加した。科学技術に触れるだけでなく、探究心を高め実践するまたとない企画で、同館ならではの取り組みといえる。
くらしゾーンには、県内企業の技術力を子どもに伝えるための展示や自身のアイデアを絵に描いて投影できる「ヒラメキスタジオ」を設けるなど、創造のきっかけがあふれている。この機を生かし、各企業の協力を得て宇宙や医療などより具体的なテーマで技術コンクールの新設なども検討してほしい。
科学技術が生活を豊かにすることに気付く機会となれば、理数系科目の苦手意識は軽減されるだろう。子どもの発想力を刺激する「ランドマーク」としての取り組みを今後も期待したい。
ポストする