作業終了後、刑務官に見守られ、手押し車に頼って自室に戻る高齢受刑者=2015年2月26日午後(画像は一部加工しています)

 

 国内最大の女子刑務所「栃木刑務所」(栃木市惣社町)が2028年4月に廃止される見通しとなった。今から10年前の2015年、下野新聞は記者が塀の中を取材したルポ企画「更正へ…償いの道 栃木・女子刑務所の現状」(全6回)を報道しました。受刑者の高齢化や国際化、再犯の増加など多様化する問題に迫った記事を通じて、栃木刑務所の役割を振り返ります。

 教室二つ分はあろうかという屋内に、作業台が整然と並ぶ。犯罪を繰り返す累犯者を集めた栃木刑務所の作業場だ。

 約60人の受刑者が無言で作業に取り組むが、進み具合に微妙な差が生じていた。てきぱきと作業をこなす若い受刑者。隣では白髪に眼鏡を掛けた受刑者がゆっくりとビーズを色分けする。

 刑務官が受刑者を呼ぶ声がした。腰が曲がった受刑者が、おぼつかない足取りで