西新井大師の大本堂=東京都足立区

 西新井大師境内の「加持の井戸」。立派な屋根に守られている=東京都足立区

 〈やせ蛙まけるな一茶是にあり〉の句碑と、カエルが相撲を取るオブジェ=東京都足立区

 「田口屋菓子舗」店主の田口美恵子さん=東京都足立区

 炎天寺境内の小林一茶像=東京都足立区

 西新井大師名物の草だんごと、くず餅、緑茶のセット=東京都足立区

 地図

 西新井大師の大本堂=東京都足立区  西新井大師境内の「加持の井戸」。立派な屋根に守られている=東京都足立区  〈やせ蛙まけるな一茶是にあり〉の句碑と、カエルが相撲を取るオブジェ=東京都足立区  「田口屋菓子舗」店主の田口美恵子さん=東京都足立区  炎天寺境内の小林一茶像=東京都足立区  西新井大師名物の草だんごと、くず餅、緑茶のセット=東京都足立区  地図

 弘法大師空海の創建と伝えられ、1200年来、信仰を集めてきた東京都足立区の西新井大師。都心から無人運転の新交通システム「日暮里・舎人ライナー」とバスを乗り継ぎ、門前町の風情があふれる町を訪ねた。

 環七通りから参道を歩くと徐々に喧噪が遠ざかり、タイムスリップしたかのよう。山門をくぐり、目の前に現れた大本堂の規模に驚く。

 西新井の地名について「疫病がまん延していたこの地を弘法大師が訪ね、当時建っていたお堂の西側で祈願したところ、古い井戸から清らかな水が湧いて病が癒えたことが由来です」と僧侶の奥隆博さんが教えてくれた。境内の一角では今も「加持水」と記された井戸が大切に祭られている。

 寺の敷地には、江戸時代、総本山である奈良の長谷寺から移植されたボタンが始まりという「牡丹園」も。見頃の4~5月には100品種、2500株が競うように花開き、「西の長谷寺、東の西新井」という言葉があるほどだ。

 西新井の名物といえば草だんご。参道沿いの「田口屋菓子舗」では、草だんごとくず餅、緑茶のセットが人気といい、店主の田口美恵子さんは「ヨモギと上新粉(米粉)はもちろん国産です」と胸を張る。「新鮮なヨモギの風味を楽しんでください」とほほ笑んだ。

 北東方向に足を延ばし、西新井大師との関わりが深く、江戸時代後期の俳人小林一茶とゆかりのある炎天寺へ。境内には有名な〈やせ蛙まけるな一茶是にあり〉の句碑が建つ。「文献からこの辺りで詠まれたと考えられています」と住職の吉野秀彦さん。

 句碑の前には、やせガエルと大ガエルが相撲を取るユーモラスなオブジェがあり目を楽しませてくれる。近くでは一茶の像が柔和な笑みを浮かべ、かつての自然と庶民のおおらかな関係性を物語っているようだった。

 【メモ】西新井大師では毎年節分に、だるまをおたき上げする「だるま供養」を行う。