総務省が公表した2024年の政治資金収支報告書で、国会議員が代表を務める政治団体などで相次いで不記載が見つかった。本県関係では高橋克法(たかはしかつのり)総務副大臣が代表の政党支部で寄付金計633万円の不記載が判明。また、茂木敏充(もてぎとしみつ)外相は24年の衆院選で計160万円の寄付を選挙運動費用収支報告書に記載していなかったことが明らかになった。
ずさんな政治資金処理は一向に改まらない。政治資金の透明化への「第一歩」とされるのが、国会議員関係政治団体の収支報告書のオンライン提出だ。しかし政府の一員である政務三役の茂木、高橋両氏は未対応だった。オンライン提出は政治資金規正法に基づく「努力義務」であり、率先して取り組むべきだ。
自民党派閥裏金事件をきっかけに、24年に成立した改正政治資金規正法は、収支報告書のデータベース(DB)化などが柱となり、オンライン提出はDB整備に不可欠となる。既に10年から努力義務となっており、27年から完全に義務化される。
一方、高市内閣の政務三役(大臣、副大臣、政務官)75人のうち、自身の国会議員関係政治団体が24年の収支報告書をオンライン提出したのは2割弱の14人のみだった。国のソフトを使う必要があるが、「操作性が悪く使いづらい」などとして浸透していないのが実情だ。
政治資金収支報告書は年に1度、提出が義務づけられているが、その多くが紙ベースで提出されている。国会議員は複数の政治団体で代表を務める場合が多く、全ての関連団体の収支報告書を調べなければ、資金の流れの全体像を把握することは難しい。収支報告書を一枚一枚、確認するしかない。
オンライン提出は、資金の流れの透明化が図れるとされ、先進諸国では常識化している。DB化されれば、議員名を検索することで一括して調べられるようになる。議員側もミス防止につながるメリットがある。
国会で企業・団体献金の扱いを巡る政治資金規正法は継続審議となる見通しで、「政治とカネ」の問題は抜本的な対策が図られていない。その中で相次いで発覚する不記載も、訂正すれば済む「事務的なミス」との認識のままだとすれば、国民の政治不信はいつまでも払拭されない。
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