本場結城紬(ゆうきつむぎ)に携わる各業界の組合で構成する本場結城紬振興事業実行委員会は23日、小山市福良の紬織物技術支援センターで「新作発表説明会」を開いた。結城紬が来年、国重要無形文化財指定70周年を迎えることなどを記念したもので、「着用シーンが増える結城紬」が狙い。来年1月30日~2月1日には都内で特別展を開き、パーティーや晴れの日での着用をPRする。
新作は計5作。江戸中期の俳人与謝蕪村(よさぶそん)が茨城県結城市で詠んだ俳句から、「秋のすゑ」「古(いにしえ)からのひびき」などをテーマにした。同じ柄が同間隔で並ぶ従来作品に比べ、肩や袖などに細やかなデザインやぼかしを施し、華やかさを演出したことが特徴という。従来品より高価な価格設定で、同事務局は「希望小売価格は280~350万円を想定している」としている。
同実行委によると、結城紬は栃木、茨城両県にまたがる鬼怒川沿いの小山、結城両市で古くから手作業で織られてきた。カジュアルな着物として広く知られる反面、着用の場が限られていることが課題という。
来年の国重文指定70周年に加え、今年はユネスコ無形文化遺産に登録され15年という節目も迎えたことから、新たな需要創出を目指し新作の開発を進めてきた。同実行委が本格的な発表会を開くのは初めてという。
浅野正富(あさのまさとみ)小山市長は「これだけ素晴らしいものを将来に向け、確実に伝えていくことがわれわれの使命」と強調。福田富一(ふくだとみかず)知事は同日の定例記者会見で、「取り組みを通じて結城紬の輪が広がることを願う。次世代に継承できるよう努めたい」と述べた。
ポストする





